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【沖縄の御願】シルカビとウチカビとは。意味・作り方・燃やし方をわかりやすく解説

【沖縄の御願】シルカビとウチカビとは。意味・作り方・燃やし方をわかりやすく解説
沖縄のお墓参りや御願行事で「ウチカビを燃やす」「シルカビを供える」という場面を見たことはありませんか。
 
清明祭(シーミー)やお盆など、沖縄の御願行事では欠かせないこの2つですが、
「何のために燃やすの?」
「何枚燃やせばいいの?」

と疑問に思う方も多いですよね。
 

 ●シルカビとウチカビはどちらも「神様やご先祖様へ届けるお金」という意味合いを持つ御願道具です。
 …ただし届ける相手が違い、シルカビは神様へ、ウチカビはご先祖様へのお金とされています。

 
本記事では、沖縄の御願に欠かせないシルカビとウチカビの意味・作り方・燃やし方・枚数の目安まで、基礎知識をわかりやすくお伝えします。
 
清明祭(シーミー)やお盆など御願行事の前にぜひ確認してください。
 

※本記事は、公益財団法人「沖縄県メモリアル整備協会」が作成しています。地域の習わしを大切に、それぞれの家らしい心のこもったご供養の一助にしてください。(2026年4月8日更新)

 



 
 

シルカビとウチカビとは何か


シルカビとウチカビとは何か
◇沖縄の御願(ウグァン)では、神様やご先祖様へお金を届けるという考え方があります。
…その「お金」の役割を果たすのがシルカビとウチカビです。
どちらもウグァン(御願)の場で燃やして煙にし、あの世や天界へ届けます。
 
 

シルカビは神様への「税金」

◇シルカビは漢字で「白紙」と書き、白い半紙で手作りする御願道具です。
…お彼岸で行うヤシチヌウグァン(屋敷の御願・拝み)など、神様へ拝む際にお供えします。
 

 ●シルカビは神様への「税金」として沖縄の御願に用いられるようになったとされています。
…私たちが税金を納めるように、神様の世界でも税のようなものが必要と考えられてきたのです。

 
またシルカビはヒラウコー(平線香)に火を付けずに拝する時、ヒラウコーの下に敷いて使うこともあります。
 
ウグァン(御願)の場では単独で供えるだけでなく、他のウグァン(御願)道具と組み合わせて使う場面も多いです。
 

【スタッフのマメ知識】
 
なお、シルカビを「クバンチン」と呼ぶ地域もあります。
 
クバンチンとは御願で神様へ捧げるお金(税金)を意味する言葉で、地域によっては十円玉や五円玉を35円セットにして供える風習もあります。

 
 

ウチカビはご先祖様への「あの世のお金」

◇ウチカビは漢字で「打ち紙」と書きます。
…藁を原料とした黄色い紙に小判のような丸い刻印が打たれた御願道具です。
お墓参りや旧盆など、ご先祖様へ拝む際に燃やして届けます。
 

 ●シルカビが神様へのお金なら、ウチカビはご先祖様へのお金です。
 …あの世で故人がお金に困ることがないよう、燃やして煙にしてあの世へ送る
 ——そんな温かい気持ちから生まれた風習です。

 
ウチカビのあの世でのお金としての価値は一枚で一万円とも言われており、「あればあるだけ良い」と多く燃やす家庭もあるでしょう。
 

【シルカビとウチカビの違い】
 
●シルカビ(白紙)
・素材…白い半紙(手作り)
・届ける相手…神様
・意味合い…神様への「税金」
・使う場面…屋敷の拝みなど、神様への御願全般
 
●ウチカビ(打ち紙)
・素材…藁原料の黄色い紙(スーパー等で販売)
・届ける相手…ご先祖様
・意味合い…あの世のお金
・使う場面…お墓参り・旧盆など、ご先祖様への御願全般

 
またお盆のウークイ(最終日のお見送り)では「次にまた来るまでのお小遣い」として持たせるという考え方もあり、「ウチカビを持ってお帰りください」と見送ります。
 

【スタッフのマメ知識】
 
ウチカビはスーパーやホームセンターで販売されていますが、シルカビはあまり販売されていません
 
これはシルカビが半紙さえあれば簡単に手作りできるからです。
準備して行くと安心ですが、墓前で作ることもできます。

 
 

シルカビの作り方と注意点


シルカビの作り方と注意点
シルカビはスーパーなどではほとんど販売されていませんが、半紙さえあれば誰でも簡単に手作りできます。
…清明祭(シーミー)やお盆の前に、家族で一緒に準備しておきましょう。
 
 

半紙を折ってちぎるだけ

シルカビとヒラウコーの正しい使い方|折り方・供え方の意味
シルカビの作り方はとてもシンプルです。特別な道具は必要ありません。
 

【シルカビの作り方】
 
① 半紙を3枚重ねる
② 3枚重ねたまま縦半分に折る
③ 横に四等分になるよう、折り目を付ける
④ 折り目を目安に手で四等分にちぎる
⑤ 千切った3枚重ねの白紙を半分に折る

 
できあがった四等分の3枚重ねのシルカビを、一組としてお供えします。
一般的には3枚重ねが基本ですが、地域や家庭によって枚数が変わることもあるでしょう。
 
折り目を何度も丁寧に付けておくと、手でもまっすぐにちぎりやすくなります。
慣れてくると短時間でたくさん作れるようになりますので、御願行事の前にまとめて準備しておくと便利です。
 
 

ハサミを使わない理由

◇シルカビを作る際にひとつだけ注意点があります。
…それは四等分に切る時に、ハサミなどの刃物を使わないということです。
 
折り目を付けて手でちぎる
——この方法にこだわる理由は、刃物で「切る」という行為が御願の場にはふさわしくないとされているからです。
 
神様へお供えするものを刃物で切ることは、縁起が悪いとされてきました。
 

【シルカビを作る時のポイント】
ハサミ・カッターなどの刃物は使わない
・折り目を何度も丁寧につけると手でもまっすぐちぎれる
・3枚重ねで四等分が基本
・一組(四等分×3枚重ね)でお供えする

 

【お客様の声】
 
本州から嫁いだため、シルカビとウチカビの違いをあまり理解できないまま、清明祭(シーミー)を迎えました。
 
シルカビは義母と共に前日に話をしながら作りました。
夫の昔話に花が咲き、結構な分量を作ってしまったけれど、義母が「取っておけば、後で使えるからね」と言ってくれました。
 
あれから長い年月が経ち義母は亡くなりましたが、シルカビを作ったり、重箱料理のお供えを準備したりする時間も、義母との関係性を深める時間だったなと、今になって思います。

 
 

ウチカビの燃やし方


ウークイに焚く「ウチカビ」の意味
ウチカビは清明祭(シーミー)やお盆など、ご先祖様への御願行事で燃やして使います。燃やす際には専用の道具と正しい手順を知っておくと、当日慌てずに済むでしょう。
 
 

カビバーチ(火鉢)の使い方

ウチカビの燃やし方
◇ウチカビを燃やすための道具が「カビバーチ(火鉢)」です。
…金属製のボールに網を敷いたものがスタンダードで、ホームセンターや大型スーパーのヒヌカン・御願道具コーナーで販売されています。
 
清明祭(シーミー)の時期が近づくと、沖縄のスーパーでも目にする機会が増えます。お持ちでない場合は早めに用意しておきましょう。
 

【カビバーチの準備】
 
・金属製のボール(カビバーチ)
・底に敷く金網
・火箸
・お供え物のお酒(仕上げ用)

 
カビバーチはホームセンターや大型スーパーのほか、仏壇仏具店でも取り扱っています。専用のものがなくても、金属製のボウルの底に金網を置き、水を張るだけです。
 
ただしカビバーチ用のボウルとして、通常のボウルなどとは区別するようにしてください。
 
 

燃やす手順

ウチカビの燃やし方
◇ウチカビはお墓参りでは「ヒジャイガミ(左神)」と呼ばれる、お墓の土地神様の前で焼きます。
…また「ジンクラ(銭倉)」と呼ばれるウチカビ(打ち紙)を燃やす場所を用意しているお墓も多いです。
 
ヒジャイガミ(左神)はお墓の左側、お墓に向かって右側に鎮座されています。
対してジンクラ(銭倉)はヒジャイガミの反対側、お墓に向かって左側に準備する家を多く見受けます。
 
下記がお墓参りでのウチカビの燃やし方手順です。
 

【ウチカビの燃やし方】
 
① カビバーチの底に金網を敷く
 
② チャーギ(イヌマキの枝)など、と共にウチカビをカビバーチに入れて燃やす
 
③ 燃やし終わったら、お供え物のお酒を少量かける
 
④ 火が完全に消えたことを、確認してから片付ける

 
燃やし終わった後にお酒をかけるのが沖縄の習わしです。
お酒をかけることでウチカビの灰がご先祖様へ届くとされています。
 
また旧盆の最終日であるウークイでは、燃やした後のカビバーチにお花やウハチ(お初)などのお供え物を入れてウサンデーを行います。
 

【スタッフのマメ知識】
 
カビバーチをお持ちでない場合、沖縄のスーパーやホームセンターでもすぐに購入できます。ヒヌカンセットが販売されているコーナーの近くにあることが多いです。
 
清明祭(シーミー)の時期には品薄になることもありますので、早めに準備しておくことをおすすめします。

 
 

ウチカビを燃やす枚数


あの世のお金「ウチカビ」を焚く順番と注意点
◇ウチカビを燃やす枚数については、「何枚が正解?」と疑問に思う方が多いポイントです。
…実は明確に決まっているわけではなく、家庭や地域によってさまざまな解釈があります。
 
 

基本は1人3枚

◇ウチカビを燃やす枚数の基本は、参列者1人につき3枚とされています。
…清明祭(シーミー)では家長がタヒラ(2枚=日本線香12本分)のヒラウコーを拝し、その他の参列者は半ヒラ(半分)を拝するのと同じように、ウチカビも立場によって枚数が異なる場合があります。
 

【ウチカビの枚数の目安】
 
●家長・施主…5枚とする家庭も多い
・その他の参列者…3枚
(基本は1人3枚)

 
ウチカビは「あの世のお金」ですので、枚数が多いほどご先祖様へ多くのお金を届けられると考えられています。
 
そのため「あればあるだけ良い」と、基本より多く燃やす家庭も少なくありません。
 
 

家庭によって異なる解釈

ウチカビの枚数については、家庭や地域によってさまざまな解釈があります。
 

【ウチカビの枚数、さまざまな解釈】
 
●1人3枚が基本
 …参列者全員が3枚ずつ燃やす
 
●家族の人数分燃やす
 …参列できなかった家族の分もまとめて燃やす
 
●多ければ多いほど良い
 …「あの世のお金はあればあるだけ良い」という考え方
 
●ご先祖様の人数分燃やす
 …お墓に入っている全てのご先祖様への気持ちとして

 
このように細やかなしきたりがありながら、意外にも家々で自由に決めているのも沖縄の御願らしさのひとつです。
 
初めて参加する清明祭(シーミー)では、その場の年長者や家長に枚数を確認しておくと安心です。
 

【お客様の声】
 
ウチカビの枚数を知らずに最初の清明祭(シーミー)に参加して、周りを見ながら合わせました。
 
後から義母に「うちは1人3枚よ」と教えてもらいましたが、家によって違うんですね。
 
今では家長の主人が5枚、子どもたちも含めて全員3枚ずつ燃やすのが我が家のルールになっています。

 
 

清明祭(シーミー)での使い方



◇清明祭(シーミー)のお墓参りでは、シルカビとウチカビをそれぞれ異なる場面で使います。
…当日の流れの中でどのタイミングで使うのかを事前に把握しておくと、スムーズにウグァン(御願)を進めることができます。
 
 

シルカビはヒジャイガミへ

◇清明祭(シーミー)のお墓参りでは、まず最初にヒジャイガミ(左の神・土地神様)への拝みから始めます。
…このヒジャイガミへのお供えにシルカビを使います。
 
ヒジャイガミはお墓の左側、お墓に向かって右側に鎮座されています。
シルカビはヒラウコー(平線香)と合わせてお供えし、土地神様へのご挨拶と感謝を伝えます。
 

【ヒジャイガミへのお供え】
 
●お供え
・重箱カタシー(もち重1箱・おかず重1箱)
・お酒
・シルカビ
 
●お線香・ヒラウコー(平線香)
・家長がタヒラ(2枚=日本線香12本)

 
シルカビはヒジャイガミへの御願が終わった後、ウチカビと一緒にカビバーチで燃やしてあの世・天界へ届けます。
 
 

ウチカビは墓前で焚く

◇ヒジャイガミへの拝みを終えたら、次は墓前でのご先祖様への御願へと進みます。
…ウグァン(御願)の最後にウチカビを焚いて(カビアンジ)、ご先祖様へお金を届けます。
 
ウチカビはヒジャイガミの前、つまりお墓に向かって右側のカビバーチで燃やします。家長から順番に、それぞれの枚数を燃やしてください。
 

【清明祭(シーミー)当日のシルカビ・ウチカビの流れ】
 
(1) ヒジャイガミへの拝み
 ・シルカビをお供えする
 ・ヒラウコーを拝する
 
(2) 墓前での御願
 ・お供え物を整える
 ・家長を中心にグイスを唱えて拝む
 ・ヒラウコーを拝する
 
(3) ウチカビを焚く(カビアンジ)
 ・ヒジャイガミの前のカビバーチで
  シルカビ・ウチカビを燃やす
 ・家長→参列者の順に燃やす
 ・最後にお酒を少量かける
 
(4) ウサンデーへ

 

【スタッフのマメ知識】
 
清明祭(シーミー)当日、ウチカビを燃やす順番は家長から始めるのが基本です。
初めて参加する方は無理に先に進まず、周りの動きに合わせて燃やせば問題ありません。
 
大切なのは形よりも、ご先祖様への感謝の気持ちを込めて燃やすことです。
 
清明祭(シーミー)の当日の流れについて、さらに詳しくはこちらをご覧ください。

 

 
 

まとめ|沖縄でウグァン(御願)の道具に込められた意味


まとめ|沖縄でウグァン(御願)の道具に込められた意味
◇シルカビとウチカビは、どちらも神様やご先祖様への「お金」を届けるための御願道具です。
…形はシンプルですが、その背景には沖縄の人々がご先祖様や神様と向き合ってきた長い歴史と文化が込められています。
 

【シルカビとウチカビ基本まとめ】
 
●シルカビ(白紙)
・素材…白い半紙(手作り)
・届ける相手…神様
・意味合い…神様への「税金」
・作り方…3枚重ねの半紙を縦半分→横四等分に折ってちぎる
・注意点:ハサミなどの刃物は使わない
 
●ウチカビ(打ち紙)
・素材…藁原料の黄色い紙
・届ける相手…ご先祖様
・意味合い…あの世のお金(1枚=1万円とも)
・燃やす枚数…基本1人3枚、家長・施主は5枚が多い
・燃やし方…カビバーチで燃やし、最後にお酒をかける
・燃やす場所…ヒジャイガミの前
 
●清明祭(シーミー)での使い方
・シルカビ…ヒジャイガミへお供え
・ウチカビ…墓前での御願の後にカビバーチで焚く
・家長から順番に燃やす

 
沖縄の御願道具についてさらに詳しくはこちらの記事もあわせてご覧ください。
 

 

【監修者:東恩納 寛寿(ひがしおんな ひろひさ)】
 
東恩納写真
公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会 終活支援部長
 
●経歴
19XX年、沖縄県名護市出身。
米国・南ユタ大学コミュニケーション学部卒業。
 
県内大手建設会社勤務を経て、2007年に公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会に入社。長年、お墓の企画提案や販売業務の第一線に従事し、中城メモリアルパーク所長を歴任。現在は終活支援部長として、沖縄の供養文化と現代のニーズを繋ぐ活動に注力している。
 
●資格・活動
・終活カウンセラー1級(沖縄県初取得者)
一般社団法人 全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部 幹事
 
●実績
県内各自治体、社会福祉協議会、医療法人、老人ホーム等での出張セミナーや講演を累計500回以上実施。沖縄タイムス等のメディア寄稿を通じ、相続や空き家問題、墓じまいに関する啓発活動を行っている。

 
 



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