【沖縄の御願】ヒヌカンを新しく仕立てるには?

◇ヒヌカンは沖縄で今も家庭に残る、御願文化の中心です。
一時期はヒヌカンを置かない家庭も増えていましたが、今は改めて注目されてきました。
ヒヌカンは本来、親から子へと受け継ぐ文化があります。ウコール(香炉)の灰に神様が宿っているとされ、灰を受け取って「分家」するのです。
ただなかには一時期のヒヌカン離れから「実家にウコールがなかった」などの話も多くなりました。そこで今日は、新しくヒヌカンを仕立てる方法をお伝えします。
目次
ヒヌカンを仕立てる前に

ヒヌカンを新しく仕立てる時、「実家にヒヌカンがない」などの理由が多い一方で、「実家の災難を引き継ぎたくない」との話もあります。
実家の災難は引き継がない
◇そもそもヒヌカンは、かまどの神様です。
…災難を引き継ぐことはないので、その点は安心してください。
沖縄の御願では、家ごとの事情や過去の出来事と、ヒヌカンという神様そのものは切り離して考えられています。
「あの家は災いが多かったから」という理由でヒヌカンを避ける必要はなく、灰を継承しても、その家の問題まで一緒に引き受けることにはなりません。
拝む時にわだかまりを感じるなら、新しく仕立てるのも、ひとつの決断かもしれません。
ヒヌカンがない家は「戸柱の神」「トイレの神」へ
◇ヒヌカンを仕立てなくても、屋敷(家)には変わらず神様がいます。
…ヒヌカンがない家では「トゥパシラヌカミ(戸柱の神)」や「フールヌカミ(トイレの神)」へ祈る家も多いです。
・トゥパシラヌカミは屋敷の大黒柱とされる神様
・フールヌカミは強い守護力を持つとされる神様
…です。
いずれか一柱だけを拝む形でも構わないとされ、必ずしもヒヌカンを仕立てなければならない、というものではありません。
ヒヌカン道具とヒヌカン台の基本

◇まずはヒヌカンの道具を台所に並べてください。
…コンロ脇が多く、家によってはヒヌカン用のスペースを設けた設計の家もあります。
基本の道具一式|専用に揃えて「他の用途に使わない」
◇ヒヌカンの道具は専用のものでなくても構いません。
…柄が入っていても問題はないのですが、専用に揃えて「他の用途に使わない」ことが大事です。
そのため最近では真っ白なヒヌカン用具にあらず、近年「かわいい」「美しい」と評価されている、「手元供養」で扱う仏具などもヒヌカンに用いられるようになりました。
道具一式(花生け・香炉・盃・塩台・湯呑み・ウブク茶碗)や、塩水での洗い方、置く場所・向きについては、下記のコラムで詳しくご紹介しています。
・【沖縄の御願、歳時記】屋敷の神、火の神(ヒヌカン)の置き方
ヒヌカン台とは|設置場所と、コンロ脇・ニッチという考え方
◇ヒヌカン道具を並べる台も、あわせて準備しておきたいものです。
…多くの家庭では、コンロ脇の棚や、キッチンの壁面を凹ませた「ニッチ」と呼ばれるスペースを利用しています。専用の「ヒヌカン台」は、大型スーパーやホームセンター、仏具店などで見掛けます。
現代のキッチンは、昔の沖縄のように、ヒヌカンを置くスペースが十分にないことも多く、従来のステンレス台が入りきらないケースも見られます。
そうした場合、食器屋さんや仏壇仏具店の手元供養用の祭壇を利用する方も少なくありません。
石材屋さんに相談して、ヒヌカン用に御影石の台を特注した方もいました。スペースが限られた分、それぞれにおしゃれで可愛いヒヌカンを仕立てて、より愛着を持って日々拝む方も増えている印象です。
・ヒヌカン台とは?種類と費用相場を解説
新しくヒヌカンを迎える3つの方法

ヒヌカンの神様を迎える方法は、主に3つあります。
①地域の御嶽(うたき)・川(ガー)を巡る
・自分の住む地域の御嶽・川を巡り、ヒヌカンを仕立てたことを報告して入ってもらう
②宗家(ムートゥーヤー)から灰をいただく
・実家よりも上の宗家や、地域の灰を分けてもらう
③実家・義実家から灰をいただき「分家」する
・実家や義理の実家(若しくは両方)から灰を分けてもらい、そこから「籍」を抜いて「分家」する
地域の御嶽(うたき)・川(ガー)を巡る
◇全く新しくヒヌカンを仕立てる場合、この方法になることが多いです。
…自分の住む地域の御嶽(うたき)や川(ガー)を巡り、ヒヌカンを仕立てたことを報告して、神様に入ってもらいます。
地域の御嶽や川は、自治会長さんなどに尋ねると、教えてくれることが多いです。
お供え物やヒジュルウコー(冷たい線香)を持参し、巡拝した先で拝みを捧げてから、その線香を自宅のヒヌカンへ移して迎え入れる、という流れが一般的です。
実家・義実家から灰をいただき「分家」する
◇最も一般的な方法が、実家や義実家から灰を分けてもらう形です。
…お供え物を整えて訪問し、儀式の手順にならって灰をいただきます。
実家や義理の実家(若しくは両方)から灰を分けてもらい、そこから「籍」を抜いて「分家」する、という考え方です。
結婚して戸建てを建てて独立したことをきっかけに、義実家の灰を継承しました。
朝、迎え入れの準備として食器を洗って乾かしておき、夫婦でお供え物をビンシーに整えて義実家へ向かい、マース(塩)・ミース(味噌)・ヒヌカンの灰をいただいて、くべ直しました。
その際、ヒヌカンへの拝みの言葉も教えてもらいましたが、昔の沖縄言葉を覚えきれず、義母は「そのままの言葉でいいよ」と言ってくれました。それでも覚えようとしたものの、覚えきれないまま、義母は他界してしまいました。
重箱料理の味もしっかり覚えきれず悔やんでいましたが、夫から「私らしく継承すれば良い」と言ってもらえたことが、今の支えになっています。
まとめ|ヒヌカンを新しく仕立てる手順

今回はヒヌカンを仕立てる手順をお伝えしました。
最近では一時期著しかった「ヒヌカン離れ」も終わり、改めてその昔ながらの拝みの良さが注目されるようになりました。
本州の人々でも「ヒヌカンを迎えたい!」と言う方がいるほどです。
ヒヌカンと共に暮らす有難みは、拝みを捧げるうちにじわじわと実感するのかもしれません。
・ヒヌカンは家の災いは引き継がない
・専用の白い陶磁器が販売されている
・本来は「専用に」用意すれば何でも良い
・地元の御嶽や産川を巡りヒヌカンを迎える
・引き継ぐ灰がある家は、引き継ぐ
・実家になければ宗家からいただくこともある

公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会 終活支援部長
●経歴
19XX年、沖縄県名護市出身。
米国・南ユタ大学コミュニケーション学部卒業。
県内大手建設会社勤務を経て、2007年に公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会に入社。長年、お墓の企画提案や販売業務の第一線に従事し、中城メモリアルパーク所長を歴任。現在は終活支援部長として、沖縄の供養文化と現代のニーズを繋ぐ活動に注力している。
●資格・活動
・終活カウンセラー1級(沖縄県初取得者)
・一般社団法人 全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部 幹事
●実績
県内各自治体、社会福祉協議会、医療法人、老人ホーム等での出張セミナーや講演を累計500回以上実施。沖縄タイムス等のメディア寄稿を通じ、相続や空き家問題、墓じまいに関する啓発活動を行っている。
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