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沖縄のシーミーに欠かせない重箱料理ウサンミ(御三味)。お供えの作法と並べ方

沖縄のシーミーに欠かせない重箱料理ウサンミ(御三味)。お供えの作法と並べ方
◇清明祭(シーミー)やお盆など、沖縄の御願行事に欠かせないのが、重箱に詰めるご馳走「ウサンミ(御三味)」です。
…重箱いっぱいに色とりどりのおかずとお餅を詰めたご馳走は、沖縄の行事ならではですよね。
 

 ●「ウサンミ(御三味)」という言葉に馴染みが薄く、「重箱料理」「ジューバク」と呼ぶ方も多いかもしれません。
 
…ただ、ご先祖様や神様へ海の幸・山の幸・大地の幸を心を込めてお供えするという意味合いは同じです。

 
昔ながらの清明祭(シーミー)では、朝からおばぁを中心に女性陣が集まり、手作りのウサンミ(御三味)を準備するのが習わしでした。
 
近年では仕出し料理店やスーパーでの注文も一般的になりましたが、
「慶事と弔事で何が違うのか」
「おかずはどう詰めれば良いのか」
「墓前への並べ方は?」

…など、いざ準備するとなると迷う部分も多いですよね。
 
本記事では、重箱料理のお供え物「ウサンミ(御三味)」の基本から慶事・弔事による違い、詰め方・並べ方の作法、補充のおかず「ウチジヘージー」まで、丁寧にお伝えします。
 

※本記事は、公益財団法人「沖縄県メモリアル整備協会」が作成しています。
地域の習わしを大切に、それぞれの家らしい心のこもったご供養の一助となれば幸いです。(2026年3月25日更新)

 



 
 

重箱料理ウサンミ(御三味)とは


まとめ|形より“想い”が届くウサンミを
 
 

「御三味」という名前の意味と由来

◇「ウサンミ」を漢字で書くと「御三味」。
…「三味」とは海の幸・山の幸・大地の幸、三種類の恵みを意味するご馳走のことです。
 
ご先祖様や神様へ、この三種の恵みを心を込めてお供えするという意味合いが込められています。
 
もともとは中国から伝わった風習で、宗廟(神様)へ供える三種のいけにえ「三牲(さんせい)」に由来するとも言われています。
 
沖縄では1392年に中国からやってきた技能集団「久米三十六姓」によって伝わったとも言われ、沖縄独自の食文化と融合しながら、現在のウサンミ(御三味)の形へと発展してきました。
 
 

カタシーとチュクン、どちらを用意する?

◇ウサンミ(御三味)はお餅重とおかず重で一対になっています。
…この一対を「カタシー(片方)」と呼びます。
 二対(4箱)になると「チュクン(両方)」です。
 
どちらを用意するかは、行事の規模や内容によって変わります。
 

【カタシー(1組=2箱)】
 
●お餅重1箱+おかず重1箱
・お彼岸、ジュウルクニチー(十六日)など
 比較的小さな行事や法要
・ヒジャイガミへのお供えもカタシー
 
【チュクン(2組=4箱)】
 
●お餅重2箱+おかず重2箱
・清明祭(シーミー)・お盆など
 大きな行事
・墓前へのお供えはチュクン

 
清明祭(シーミー)では墓前にチュクン(4箱)を供えるのが基本ですが、近年では家族単位の小規模な清明祭(シーミー)も増え、カタシー(2箱)で行う家庭も見られます。
 
集まる人数や規模に合わせて、柔軟に対応してよいでしょう。
 
 

行事によって重箱料理の中身が変わる


シーミーに参加する前に知っておきたいこと
ウサンミ(御三味)は同じ重箱料理でも、慶事(お祝い)か弔事(供養)かによって、詰める内容が変わります。
清明祭(シーミー)の準備をする際には、慶事用を用意します。
 
 

清明祭(シーミー)は慶事用の重箱料理

◇清明祭(シーミー)は名前に「祭」とあるように、お墓参りでありながらお祝いの意味合いを持つ慶事です。
…そのため、ウサンミ(御三味)も慶事用を準備します。
 
重箱を開けた瞬間の「色」が、慶事用の最大の特徴です。
赤いかまぼこや色とりどりのお餅——その華やかさこそが、ご先祖様への「子孫はこんなに元気に繁栄していますよ」という報告の形です。
 

【慶事用ウサンミ(御三味)の特徴】
 
お餅…色もちを混ぜる
・白もち
・アンコ
・黒糖
・よもぎ
…など
 
かまぼこ…紅白かまぼこ
 
ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)…皮を下にして詰める
(弔事では皮を上にして詰める)
 
●昆布…結び昆布を使う

 
 

弔事用の重箱料理を使う行事とは

◇一方、弔事用のウサンミ(御三味)を使う行事もあります。
…沖縄の旧暦行事や法要のなかで、弔事として位置づけられているものが該当します。
 

①ジュウルクニチー(十六日)
…旧暦1月16日に行う「あの世の正月」とも呼ばれるお墓参り行事です。

 
離島では清明祭(シーミー)よりも大きな行事として定着しています。
沖縄本島では、喪中の家庭が清明祭(シーミー)の代わりに行うお墓参り行事としても知られています。
 

②ワカスーコー(若焼香)
イヌイ(一年忌)サンニンチ(三年忌)など、故人が亡くなってから年数の浅い法要(スーコー=焼香)は「ワカスーコー(若焼香)」と呼ばれ、弔事用のウサンミ(御三味)を準備します。

 
ただし、ニジュウゴニンチ(二十五年忌)やサンジュウサンニンチ(三十三年忌)など、故人が亡くなってから25年以上経った大焼香(ウフスーコー)です。
 
「大焼香(ウフスーコー)」では、成仏して神になったとして慶事扱いに変わります。そのため、重箱料理のウサンミ(御三味)も慶事用を準備することになるでしょう。
 

 
 

慶事用・弔事用の違い一覧

【慶事用】
 
お餅…白もち+色もち(アンコ・黒糖・よもぎなど)
かまぼこ…紅白かまぼこ
ラフテー(豚の三枚肉)…皮を下にして詰める
昆布…結び昆布
 
【弔事用】
 
お餅…白もちのみ
かまぼこ…白かまぼこ
ラフテー(豚の三枚肉)…皮を上にして詰める
昆布…返し昆布(ケーシ昆布)
 
【慶事になる行事の例】
 
・清明祭(シーミー)
・大焼香(ウフスーコー)
(ニジュウゴニンチ(二十五年忌)以降)
 
【弔事になる行事の例】
 
・ジュウルクニチー(十六日)
・ワカスーコー(若焼香)
(イヌイ(一年忌)・サンニンチ(三年忌)など)

 
 

おかず重の詰め方


お盆の進め方|お供え・料理・重箱の解説
 
 

定番おかずの種類

◇ウサンミ(御三味=おかず重に詰めるおかず)は、全て決まっているわけではありませんが、昔ながらの定番があります。
 
海の幸・山の幸・大地の幸をバランスよく詰めるのが基本の考え方です。
 

●定番おかず
 
・ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)
・結び昆布の煮しめ(慶事用)/返し昆布(弔事用)
・ごぼうの煮付け
・大根の煮付け
・魚の天ぷら
・カステラかまぼこ
・赤かまぼこ(慶事用)/白かまぼこ(弔事用)
・島豆腐の揚げ豆腐
・こんにゃくの煮付け

 
品数は9品・15品など奇数を基本とします。
全て手作りしなくても、かまぼこやカステラかまぼこはスーパーで購入する家庭がほとんどです。
 
近年では子どもが喜ぶエビフライなどを加える家庭も増えています。
おかずの手作りレシピはこちらをご覧ください。
 

 
 

おかずの配置と詰め方のルール

◇おかず重は賽の目に四角く区切って詰めるのが特徴です。
…見た目の美しさもご先祖様へのおもてなしのひとつです。
配置にも昔ながらの習わしがあります。
 

●ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)の配置
…ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)は、お仏壇(墓前)側の中央に配置する家が多いです。

 
慶事用は皮を下にして、弔事用は皮を上にして詰めます。
 

●昆布の配置
…昆布の煮しめはラフテー(豚の三枚肉の煮付け)の対角、つまりお参りする側の中央に詰めることが多いです。

 
慶事用は結び昆布、弔事用は返し昆布(ケーシ昆布)を使います。
 

●お箸の置き方
…おかず重にはお箸を左上に置いてお供えします。

 
チュクン(4箱)の場合にはそれぞれのおかず重に同じようにお箸を置いてください。
 

●家紋について
お重に家紋を入れている家もありますが、その場合には紋を墓前(お仏壇)向きにします。

 
 

もち重の詰め方


墓前へのお供え物
 
 

奇数個並べる理由

◇ウサンミ(御三味)のもち重には、お餅を奇数個並べる風習があります。
…沖縄のウグァン(御願)行事では、お供え物の数は奇数とする風習が広く根付いています。
 
偶数は「割り切れる」ことから縁起が悪いとされ、奇数は「割り切れない」=縁が続くという縁起の良い数とされてきました。
お餅の個数もこの考え方に倣っています。
 

【もち重の基本の個数】
 
・9個 (3列×3個)
・15個(3列×5個)
・21個(3列×7個)
※いずれも奇数

 
重箱のサイズや集まる人数に合わせて選びます。
一般的に親族が多く集まる清明祭(シーミー)では、もち重2箱+おかず重2箱の「チュクン(2組)」が一般的です。
 
もち重2箱それぞれに同じ個数を揃えると良いでしょう。
 
 

慶事用の色もちについて

◇弔事用のもち重には白もちのみを詰めます。
…ただ、清明祭(シーミー)は慶事用ですので、白もちの他に色もちを混ぜて詰めます。
色もちの華やかさが、お祝いの重箱らしい明るい雰囲気を演出します。
 

【慶事用もち重の色もちの種類】
 
・アンコ入りもち(白またはピンク色)
・黒糖もち(茶色~黒色)
・よもぎもち(緑色)
・きな粉をまぶしたもち(黄色)
…など。

 
色もちと白もちを交互に並べると、見た目にも美しく仕上がります。
全て同じ大きさに揃えて、きれいに整列させて詰めることが、ウサンミ(御三味)ならではの丁寧なおもてなしの心です。
 
近年ではスーパーやお餅専門店でシーミー用の色もちセットが販売されることも多いので、活用してみてください。
 
 

墓前・お仏壇への並べ方


墓前・お仏壇への並べ方
 
 

基本の向きと順番

ウサンミ(御三味)を墓前やお仏壇に並べる際には、向きと順番に昔ながらの習わしがあります。
あまり気にしない門中も多いですが、知っておくと安心です。
 

●おかず重・もち重の向き
…墓前やお仏壇を正面にして、向かって左側がおかず重、右側がもち重となります。
 
●チュクン(4箱)の並べ方
…チュクン(4箱)の場合には、左からおかず重・もち重・おかず重・もち重の順に横一列に並べます。

 

【チュクンの並べ方】
 
墓前・お仏壇側

おかず重 もち重 おかず重 もち重
 (左)          (右)

お参りする側
 
※上記イラストを参照
 
●ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)の向き
…おかず重の中のラフテー(豚の三枚肉の煮付け)は、必ず墓前(お仏壇)側に向けて置いてください。
 
●お箸の置き方
…おかず重の左上にお箸を置いてお供えします。
チュクン(4箱)の場合には、2箱それぞれのおかず重に同じようにお箸を置きます。
 
●家紋の向き
…お重に家紋や文様が入っている場合には、紋を墓前(お仏壇)向きにします。

 
 

スペースが限られる場合の並べ方

スペースが限られる場合の並べ方
本来はチュクン(4箱)を横一列に並べてお供えするのが理想的ですが、霊園など墓前のスペースが限られる場合には、二列や二段に並べることも多くなりました。
 

●二列に並べる場合
…墓前(お仏壇前)の列は左側がおかず重・右側がもち重、その手前(お参りする側)の列は左側がもち重・右側がおかず重と、交互(逆向き)に並ぶようにしてください。

 

【二列に並べる場合】
 
墓前・お仏壇側

おかず重 もち重 ←墓前側の列
もち重 おかず重 ←手前側の列

お参りする側
 
※上記イラストを参照

 
これはウサンミ(御三味)が墓前とお参りする人々それぞれに対して、お重を広げている形を表しています。お箸も同じように、それぞれのおかず重の左上に置きます。
 
霊園での清明祭(シーミー)のスペースや段取りについてはこちらもご覧ください。
 

【霊園など新しいお墓で行う清明祭(シーミー)の進め方】
霊園・コンパクト墓での清明祭(シーミー)。スペース・ウサンデーの工夫と準備ポイント

 
 

ウチジヘイシとは何か


ウチジヘイシとは何か
 
 

なぜ補充のおかずが必要なのか

◇清明祭(シーミー)のお墓参りでは、ヒジャイガミ(左の神)と墓前の2か所にウサンミ(御三味)をお供えします。
 
本来であれば2か所それぞれに別々のウサンミ(御三味)を用意するのが理想ですが、それでは準備も大変ですし、ウサンデー(共食)でも食べきれなくなってしまいます。
 

 ●そこで生まれた沖縄ならではの知恵が「ウチジヘイシ」です。
 
…「ウチジヘイシ」とは、ヒジャイガミへのお供えで取り出したおかずの分を補充するための、予備のおかずのことです。

 
別のタッパーなどに入れて事前に準備しておきます。
 
 

ウハチ(お初)からウチジヘイシの流れ

実際の流れを順を追って確認しておきましょう。
 

(1) ヒジャイガミへのお供え
まずヒジャイガミへウサンミ(御三味)をカタシー(1組)お供えして拝みます。
 
(2) ウハチ(お初)を取り分ける
拝みを終えたら、おかず重から1品につき1~2個ずつおかずを取り出し、お皿に盛り付けてヒジャイガミへ改めてお供えします。
 
これを「ウハチ(お初)」と言います。取り出した後のウサンミ(御三味)は一度引き上げます。
 
(3) ウチジヘイシで補充する
引き上げたウサンミ(御三味)のおかず重には、取り出した分だけ空きが生じています。
 
ここに事前に準備しておいたウチジヘイシのおかずを補充して、元の状態に整えます。
 
(4) 墓前へお供えする
補充を終えてきれいに整ったウサンミ(御三味)を、今度は墓前にチュクン(4箱)でお供えして、ご先祖様への御願へと進みます。

 

【ウチジヘイシの流れまとめ】
 
(1) ヒジャイガミへウサンミをお供えして拝む
(2) おかずを取り出してウハチ(お初)として供える
(3) 引き上げたウサンミにウチジヘージーで補充
(4) 整ったウサンミを墓前にお供えして御願へ

 
ウチジヘイシは事前に準備しておくことが大切です。
清明祭(シーミー)当日に慌てないよう、前日までにおかずを別タッパーに入れて用意しておきましょう。
 
 

まとめ|重箱料理ウサンミ(御三味)は心を込めたご先祖様へのおもてなし


沖縄の「重箱料理」とは?ウサンミの意味と由来
海の幸・山の幸・大地の幸を重箱に詰めて、ご先祖様へ心を込めてお供えするウサンミ(御三味)
 
その美しい盛り付けと丁寧な作法のひとつひとつに、沖縄の人々のご先祖様への深い敬意と感謝の気持ちが込められています。
 

【ウサンミ(御三味)基本まとめ】
 
●重箱の種類
・カタシー:お餅重1箱+おかず重1箱(1組)
・チュクン:お餅重2箱+おかず重2箱(2組)
・清明祭(シーミー)の墓前はチュクンが基本
 
●慶事用・弔事用の主な違い
・お餅:慶事=色もち混合/弔事=白もちのみ
・かまぼこ:慶事=赤/弔事=白
・豚の三枚肉:慶事=皮を下/弔事=皮を上
・昆布:慶事=結び昆布/弔事=返し昆布
 
●並べ方の基本
・向かって左がおかず重、右がもち重
・豚の三枚肉は墓前(お仏壇)側に向ける
・おかず重の左上にお箸を置く
 
●ウチジヘージーの流れ
・ヒジャイガミへお供えして拝む
・ウハチ(お初)としておかずを取り分ける
・ウチジヘージーで補充して墓前へお供えする

 
ウサンミ(御三味)のレシピや清明祭(シーミー)の詳しい準備については、以下の記事もあわせてご覧ください。
 

 


【監修者:東恩納 寛寿(ひがしおんな ひろひさ)】
公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会 終活支援部長
東恩納写真
 
●経歴
19XX年、沖縄県名護市出身。
米国・南ユタ大学コミュニケーション学部卒業。
 
県内大手建設会社勤務を経て、2007年に公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会に入社。長年、お墓の企画提案や販売業務の第一線に従事し、中城メモリアルパーク所長を歴任。現在は終活支援部長として、沖縄の供養文化と現代のニーズを繋ぐ活動に注力している。
 
●資格・活動
・終活カウンセラー1級(沖縄県初取得者)
一般社団法人 全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部 幹事
 
●実績
県内各自治体、社会福祉協議会、医療法人、老人ホーム等での出張セミナーや講演を累計500回以上実施。沖縄タイムス等のメディア寄稿を通じ、相続や空き家問題、墓じまいに関する啓発活動を行っている。

 
 



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