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沖縄のお盆「ウンケー」とは?仏壇飾り・御膳・御願まで初日の流れを解説

沖縄のお盆「ウンケー」とは?仏壇飾り・御膳・御願まで初日の流れを解説
沖縄のお盆は、旧暦の7月13日から15日までの3日間で行われ、「ウンケー(お迎え)」「ナカビ(中日)」「ウークイ(お見送り)」と続く独自の流れがあります。
 
なかでも初日の「ウンケー」では、ご先祖様を丁寧にお迎えするため、仏壇を整え、ヒラウコー(平御香)やウージ(さとうきび)などを飾り、門前や仏壇の前で拝みを行います。本州のお盆とは異なる、沖縄ならではの細やかな風習が数多く残っているのが特徴です。
 
とはいえ、現代の生活の中では、昔ながらの作法をすべて守ることが難しいご家庭も多いでしょう。だからこそ、「ウンケー」に込められた意味や背景を知ったうえで、自分たちなりに丁寧に迎える姿勢を大切にしたいものです。
 
このコラムでは、沖縄のお盆の初日である「ウンケー」について、仏壇の飾り方や供え物、門前や仏前での迎え方など、基本的な流れとポイントをわかりやすくご紹介します。
 
 



 
 

沖縄の旧盆は「ウンケー(お迎え)」から始まる


沖縄のお盆マナーと注意点
沖縄のお盆は、旧暦7月13日から15日までの3日間で行われるのが一般的です。初日を「ウンケー(お迎え)」、二日目を「ナカビ(中日)」、最終日を「ウークイ(お送り)」と呼び、ご先祖様とともに過ごす3日間の行事として、広く受け継がれています。
 
特に初日の「ウンケー」は、旧盆の始まりにあたる大切な日です。仏壇を清めて供え物を整え、家族そろって門前や仏壇で拝み、ご先祖様を丁寧に迎えるところから、三日間が始まります。沖縄線香ヒラウコー(平御香)やウージ(さとうきび)、季節の果物などの飾りも、この日に合わせて準備します。
 
なお、地域によっては四日間構成のお盆を行うところもあります。その場合は、「ウンケー→ナカビ→ナカビ→ウークイ」と、ナカビを二日設ける形が特徴です。とはいえ、多くの家庭では3日間の日程が主流となっており、地域差があることも沖縄のお盆ならではの特徴といえるでしょう。
 
旧盆三日間は、ご先祖様の魂を迎え、共に過ごし、感謝とともにお見送りする流れで構成されています。その始まりであるウンケーを丁寧に迎えることが、三日間を心穏やかに過ごすための大切な第一歩となるのです。
 

[沖縄と全国的なお盆の違い]
沖縄のお盆を迎える時。大きく違う5つの風習

 
 

旧暦の7月13日はお盆の“初日”

 
「ウンケー」とは、沖縄の旧盆においてご先祖様をお迎えする初日の行事を指します。旧暦七月十三日にあたるこの日は、仏壇を整え、供え物を並べ、門前や仏前で拝みを行いながら、ご先祖様の霊を「ようこそおいでください」と家へ招き入れる、大切な儀式です。
 
沖縄の旧盆は、ウンケー(お迎え)、ナカビ(中日)、ウークイ(お見送り)の三日間で構成されており、それぞれの意味と役割が異なります。
初日のウンケーでは、ご先祖様を迎えるための準備を整えることが中心。ナカビは、迎えたご先祖様と静かに過ごす日。最終日のウークイでは、料理やお供えを整えて感謝の気持ちを込めてお見送りをします。
 
日程は地域によって差があり、一部の地域ではナカビが二日間にわたる四日構成(ウンケー→ナカビ→ナカビ→ウークイ)を採用する場合もありますが、三日間の日程がもっとも一般的です。
 
こうした旧盆三日間の流れは、ご先祖様との心のつながりを大切にし、家族で感謝と祈りを分かち合う沖縄の御願文化の象徴ともいえるでしょう。
 

 
 

ナカビ・ウークイとの違いと流れ

沖縄の旧盆は、旧暦7月13日から15日までの3日間で行われ、初日の「ウンケー(お迎え)」から始まり、中日の「ナカビ」、最終日の「ウークイ(お見送り)」へと続く流れが基本です。
 
この3日間のスタートを切るウンケーは、ご先祖様の霊を自宅にお迎えする日とされ、仏壇の飾りつけ供え物の準備、門前や仏前での拝みなどが行われます。とくに、母方または父方の「トートーメー(祖先位牌)」を祀る本家(ムートゥーヤー)では、早朝からの準備が必要となるため、この日が最も慌ただしくなることも少なくありません。
 
ナカビには、分家の人々がこのムートゥーヤーを訪れて挨拶をする「挨拶まわり」の風習も根強く残っています。手土産「お中元」を持参して、位牌の前で手を合わせ、家族の近況を報告する光景は、沖縄のお盆ならではのもの。こうした交流を通じて、血縁のつながりや御願文化が今も受け継がれています。
 
そして最終日のウークイでは、ご先祖様を丁重にお見送りするための儀式が行われます。重箱に詰めたご馳走「ウサンミ(御三味)」を仏前に供え、家族もともにいただく“共食”の文化は、ウークイの大きな特徴です。その後、ウチカビ(あの世のお金)を焚き、祈りを込めて霊を送り出すことで、三日間の旧盆が締めくくられます。
 

[沖縄の旧盆|ウークイの過ごし方]
沖縄の旧盆行事の行い方④☆最終日ウークイの進め方

 
 

2025年の沖縄のお盆はいつ?


2025年の沖縄のお盆はいつ?
沖縄では、お盆といえば旧暦で行う「旧盆(キュウボン)」が主流です。そのため、全国的に広く知られている新暦のお盆(8月13日〜15日)とは日程が異なり、毎年、カレンダー上の時期がずれるのが特徴です。
 
2025年の沖縄のお盆(旧盆)は、9月4日(木)〜9月6日(土)の3日間となります。
地域によっては、ナカビを2日間設ける「4日間日程」を採用している場合もあり、その場合のウークイ(送り)は9月7日(日)にあたります。

 
 

2024年度と日程が違う理由|沖縄のお盆は旧盆

2025年のお盆日程が9月にずれ込んでいる理由は、「ユンヂチ(閏月)」の年にあたっているためです。
 
2025年は旧暦6月に閏月(うるうづき)が入り、暦全体が1ヶ月分後ろ倒しになるため、旧盆もそれに伴って新暦の9月初旬に訪れることになります。
 
このように、沖縄ではお盆の日程が旧暦の7月13日~15日に基づいて決まるため、新暦上では毎年異なるタイミングで旧盆がやってくるのが一般的です。
前年(2024年)と比較しても1ヶ月ほど遅れることもあり、旧暦と新暦のズレがある年は注意が必要です。
 

 
 

沖縄のお盆で、お墓参りは「タナバタ」

沖縄では、「お盆といえばお墓参り」と思われがちですが、実際にご先祖様の墓前に足を運ぶのは、お盆期間中ではなくタナバタ(旧暦7月7日)が主流とされています。
 
2025年の旧暦タナバタは8月29日(金)にあたります。
この日は、ご先祖様に「まもなくウンケーがやってきますよ」とお知らせする意味合いを持つ、いわば“旧盆の案内日”のような日です。
 
タナバタのお墓参りを行うのは、トートーメー(位牌)を祀るムートゥーヤー(本家・宗家)にあたる家が中心で、親族全体の代表として、家族単位で静かに墓前を清め、手を合わせます。
 
この風習は旧暦に則った行事であるため、毎年新暦では異なる日程になります。2025年のようにユンヂチ(閏月)がある年は特にずれが大きくなるため、事前に旧暦カレンダーを確認しておくことが大切です。
 

[全国とは違う沖縄のタナバタ(旧暦七夕)]
沖縄でお盆を先祖へ知らせる儀式、タナバタの基礎知識

 
 

お中元はウンケーかナカビが理想的

沖縄では、旧盆期間中に「お中元」を持参する風習が根づいています。
本州のような企業間・知人間の季節贈答というよりも、旧盆にあたるウンケー〜ナカビにかけて、分家の家族がトートーメー(先祖位牌)を祀るムートゥーヤー(本家・宗家)へ挨拶まわりをする際の手土産として位置づけられています。
 
ムートゥーヤーに集まる際には、菓子折りや果物などを持参し、それを「お中元」として渡すのが一般的です。
旧盆に参加できない親族は、事前に本家宛にお中元を宅配などで送り届けることもありますが、これもまた沖縄ならではのつながりを大切にする習慣のひとつです。
 
届いたお中元は、まずムートゥーヤーの家族が仏壇に供えてから、その上にウチカビ(あの世のお金)を3枚乗せて供え保管するという風習が残っています。これは「いただいたお供え物を、きちんとご先祖様にも報告し、感謝を届ける」という気持ちの表れです。
 

さらに、旧盆最終日のウークイ(お見送り)の際には──
 
ムートゥーヤーの家族が、届いたお中元の送り主の名前を口に出して、

こちらは〇〇家、〇〇さんからのご供え物です

 
と、ご先祖様へ伝えたうえで、お中元の上に乗せていたウチカビを一緒に焚いて送り届けるという、細やかな供養の習慣もあります。
 
このように、沖縄ではお中元は「贈る相手」だけでなく「ご先祖様」にも届けるものと考えられており、旧盆の中でもナカビまでに到着・持参できることが理想的とされています。
 
贈る側にとっても、迎える側にとっても、心と心を結ぶご供養の一環として、「お中元」は旧盆の大切な風習のひとつなのです。
 

[沖縄の手土産「お中元」は金額相場が低い]
沖縄のお盆回り。ナカビのお中元におすすめ、7つの品々

 
 

ウンケー当日の仏壇飾りとお供え物


2025年初めての沖縄旧盆|基本の流れと準備
沖縄の旧盆であるウンケーでは、仏壇を整えてご先祖様を迎える準備をすることが大切です。飾り方には沖縄特有の形式があり、それぞれの段に置くべきもの、並べ方のルールがあります。
 
ここでは、基本的な仏壇の構造と、供え物の意味・配置の仕方についてご紹介します。
 
 

沖縄の仏壇は4段構成|段ごとの飾り方の基本

沖縄の仏壇は、4段で構成されているのが一般的です。基本的に沖縄のお供え物は左右対称に供えられ舞うが、中央は先祖代々位牌「トートーメー」を中心にして、ウコール(香炉)やお酒など、ひとつのみのものを供えます。各段には置くものが決まっており、それぞれに意味が込められています。ここでは、その「中央に供えるひとつのもの」をご紹介します。
 

【中央に供えるものはひとつのみ】
 
【最上段(5段目)】
中央に「トートーメー(先祖代々の位牌)」を祀ります。
これは家系の中心的な信仰の象徴であり、ウンケーの拝みはここへ向かって行います。
 
【4段目】
中央にお酒(泡盛や清酒など)を1つ置きます。
家庭によっては、お酒と並べてお水も供える場合もあります。
 
【3段目】
1つのウコール(香炉)を中央に。
ここに沖縄線香ヒラウコー(平御香)を立て、家族全員がこの香炉を中心に手を合わせます。
 
【2段目】
2段目の中央に配置するお供えはありません。
左右対称に1対のダーグ(団子)やミフシウージ(3節分のさとうきび)を供えます。
ただし全体で4段の場合は、2段目・3段目のお供え物を一緒に供える配置が多いでしょう。
 
【1段目】
お膳料理を供えるスペースです。
ウンケージューシーや酢の物(ウサチ)などを盛り込んだ御膳を中央に供えます。
ただし、故人1人を祀る場合は御膳も1膳ですが、複数のご先祖様が祀られる場合は2膳が一般的です。

 
このように、仏壇は「中央に軸となるものを1つ」配置し、その周囲をバランスよく整えることが基本となっています。

 
 

左右に1対で供えるもの|お茶・果物・花・ウージ

 
沖縄の仏壇飾りの大きな特徴は、「供え物の多くが1対(つい)で並べられる」ことにあります。これは左右対称の美しさを保つだけでなく、神仏への敬意や陰陽の調和を表す意味も含まれています。
 
それぞれの段において、中央の供え物の両脇に置く1対の供物には以下のようなものがあります:
 

【中央の両脇に左右対称に1対(2つ)の供物】
 
【供え花】
最上段の位牌の左右に。
季節の花や菊などを偶数本ずつ、一対の花立てに供えます。
 
【お茶(ウチャトゥ)】
4段目のお酒の左右に配置。
温かいお茶を小さな茶碗に注ぎ、2つ並べます。
 
【ガンシナに乗せた果物(ナイムン)】
4段目のお酒・お茶(ウチャトゥ)の左右に、ガンシナに乗せた果物(ナイムン)です。
「ガンシナ」とはくば笠を丸く編んだ敷物で、その上にスイカやメロン、パイナップルなどの丸く大きなものを乗せます。
 
【果物(ナイムン)の盛り合わせ】
3段目のウコール(香炉)の左右に、
バナナ・みかん・りんごなどを盛った果物の器を対で置きます。
 
【ダーグ(白団子)やウージ(さとうきび)】
2段目ダーグは丸めた団子を7個ずつ器にのせ、一対に。
ウージは3節を束ねた短いものを7本ずつにして結び、2束を一対にして飾ります。

 
このような左右対称に1対の供え物を整えることで、「お迎えの場」としての仏壇の空間が完成し、ご先祖様に対するおもてなしの心が形になります。

 
 

ウージ・ガンシナ・パイナップルの意味と飾り方

ウンケーの仏壇飾りには、以上の基本的なお供え物の他にも、沖縄ならではの象徴的なアイテムも登場します。
 

【ナナフシウージ(7節のさとうきび)】
ご先祖様が家に歩いて戻ってくる際の“杖”の役割を果たすものとされており、仏壇の両脇に7節分のさとうきびを、長いまま2本ずつ立てて飾る家庭もあります。
 
【ガンシナ】
くば笠を丸く編んだ敷物で、その上にパイナップルやスイカなど大ぶりの果物をのせて飾ります。
これは見た目の華やかさと豊かさを表現し、ご先祖様への敬意と感謝の気持ちを込めた飾りです。
 
【ぼんぼり(丸い紙飾り)】
仏壇の前に並べる地域もあり、「明るくお迎えする」ための演出として扱われます。
 
【ミンヌク】
ご先祖様に付いてきた無縁仏や魑魅魍魎が、ご先祖様のお供えを食べぬよう、ニンジンなどお供え物の切れ端などを供えます。
仏壇の下、ぼんぼりの脇に供える家もあれば、家に入らぬよう、門前に供えることもあるでしょう。

 
こうした飾りのひとつひとつに、沖縄の自然・風土・信仰が反映されており、地域ごとの特徴も現れやすい部分です。家庭ごとのやり方を大切にしながら、心を込めて準備しましょう。
 

[沖縄の旧盆|お供え物について詳しく]
沖縄の旧盆行事の行い方②☆初日ウンケーの進め方

 
 

お供え物(ウサギムン)の準備|ウンケージューシーと料理


沖縄の旧盆、ウンケーでは「ご先祖様を迎える日」として、仏壇だけでなくお供え物料理「ウサギムン」の準備も欠かせません。
 
地域や家庭によって差はあるものの、ウンケーで供えるお供え物には一定の“型”があり、これを知っておくだけで準備がスムーズになります。
 
とくに仏壇の最下段には、ご先祖様へお供え物料理の御膳を供えます。故人1人を祀っている仏壇ならば、中央にひとつの御膳、複数のご先祖様を祀っているトートーメーの場合は、2膳以上の複数の御膳を、複数のお箸とともに供えましょう。
 
 

ウンケージューシーとウサチ(酢の物)

お供え物(ウサギムン)の準備|ウンケージューシーと料理
ウンケーで供える代表的なお供え物料理が、「ウンケージューシー」です。
これは沖縄風の炊き込みご飯で、豚肉やしいたけ、人参などを具材にした家庭の味。温かい状態でお膳に盛り、仏壇に供えます。
 
沖縄の旧盆で供えるウンケージューシーは、通常のジューシーとは違い、魑魅魍魎や無縁仏を強い香りで払うとされる、ショウガやヨモギを食材にする特徴がありました。ただ、現在では通常のジューシーを炊く家庭も多いでしょう。
 
また、御膳には副菜としてウンケーではウサチ(酢の物)も添えます。
きゅうりやわかめ、人参などを薄味の酢で和えた、さっぱりとした箸休めにあたる小鉢料理で、ウンケージューシーとともに御膳に配膳しましょう。
 
どちらのお供え物料理も「ご先祖様をおもてなしするための正式なお供え物(ウサギムン)」とされ、地域によっては三品や五品をお膳に並べるところもあります。
 
 

ショウガとソーローハーシの並べ方

ショウガとソーローハーシの並べ方
ウンケーの御膳には、葉付きのショウガを3本、御膳の手前に並べて供えます。これはご先祖様の“薬味”や“口直し”とされ、伝統的に欠かせないものです。また香りの強いショウガは、魑魅魍魎を祓う食材としても供えます。
 
さらに、仏壇の奥側(ご先祖様に近い側)には、ソーローメーシ(精霊箸=仏用のお箸)を置きましょう。
この箸は精霊、つまりご先祖様がお食事をするための箸であり、沖縄では一般的にメドハギ(植物)で作ります。
 
 

白もち・ウンケーダーグのお供えも忘れずに

ウンケーでは、お供え物料理(ウサギムン)の他に白団子(ダーグ)のお供えも一般的です。
 
この団子はもち米や白玉粉で作られ、7個ずつを1皿に盛り、対になるよう2皿を仏壇に供えます。
「ウンケーダーグ」はお供え団子の中でも特にウンケー専用とされることがあり、やさしい甘さと白い丸い形に“浄め”の意味が込められています。
 
また、仏壇の2段目や3段目のお供えは、バナナ(男性性)やりんご(女性性)・みかん(子孫繁栄~房の多い様子から~)などの果物(ナイムン)を1対で供えます。
丸くて色の良い果物は「豊かさ」と「実り」を象徴し、御願の場を華やかにしてくれます。
 
このように沖縄の旧盆では、「お供え物料理(ウサギムン)」もまた祈りの一部。
ウンケージューシーやダーグ、果物などを丁寧に準備することで、ご先祖様への感謝と敬意がしっかりと伝わるとされています。
 

 
 

ご先祖様を迎える「御願」の流れ


ご先祖様を迎える「御願」の流れ
仏壇や料理の準備が整ったら、いよいよウンケー当日の「御願(ウガン)」に入ります。
 
この御願は、ご先祖様の霊を正式にお迎えするための大切な儀式であり、門前と仏前の二か所でそれぞれ拝みを行うのが沖縄の旧盆ならではの特徴です。
 
形式や作法には地域差がありますが、ここでは代表的な流れをご紹介します。

 
 

まずは門前での迎え方と文言

沖縄のお盆では、まず家の門前でご先祖様を迎える拝みを行います。
このとき、玄関や門の両脇には一対のろうそくを灯し、中央には沖縄線香ヒラウコー(平御香)を日本線香12本分にあたる2枚組(タヒラ)で焚いておきます。

家長を中心に親族が門前に集まり、静かに手を合わせながら以下のような拝み言葉を唱えます。
 

本日は旧暦7月13日、盆の入り口です。家族そろってご先祖様を心からお迎えいたします。どうぞご無事にいらしてください。」

 
このように言葉を添えて、沖縄線香ヒラウコーの煙と香りでご先祖様を導くのが、旧盆のウンケーにおける“お出迎え”の作法とされています。
 
※地域によっては、門前ではなく玄関の内側や仏壇前でのみ行う家庭もあります。

 
 

仏壇でのウンケー御願と沖縄線香ヒラウコーの供え方

門前でのお迎えを済ませたら、次は仏壇の前でウンケーの正式な御願(ウグァン)を行います。
 
家長が門前で供えた沖縄線香ヒラウコー2枚組を、仏壇の中央にあるウコール(香炉)に供えるところから始まります。ただし、仏前のヒラウコーは新しく供えなおす地域もあるでしょう。その後、家族それぞれが1人につき日本線香3本分にあたる、沖縄線香ヒラウコーを半ヒラ(一枚を縦半分に割る)を供えていきます。
 
このときの御願言葉も、地域や家ごとに異なりますが、以下のような丁寧な言い回しが一般的です。
 

本日はウンケーにあたり、心を込めてお迎え申し上げます。三日間、どうぞゆっくりとお過ごしください。

 
沖縄線香ヒラウコーを立て終えたら、準備したウンケー御膳や供え物を前に、ご先祖様とともに静かに手を合わせます。

 
 

ウンケーの御願は、地域による違いも大切に

沖縄線香ヒラウコーを門前に置いたままにする地域もあれば、御願(ウグァン)を終えたあと仏壇に移して焚き直す地域もあります。また、家によっては玄関の外ではなく、縁側や仏間の入口で迎えるケースもあります。
 
こうした違いは、どれが正しい・間違いというより、地域や家系ごとの流儀を尊重することが一番大切とされています。
 
沖縄の旧盆におけるウンケーの御願は、形式よりも「ご先祖様を思う気持ち」が何よりも大切です。飾りや手順にとらわれすぎず、家族それぞれの形で、敬意と感謝を込めてお迎えしましょう。

 
 

日本線香を供えても良い

沖縄の旧盆といえば、沖縄線香ヒラウコー(平御香)を焚いてご先祖様を迎えるのが定番の風習ですが、近年では日本線香を代用として用いる家庭も増えてきました。とくに都市部やマンションなど、集合住宅に暮らすご家庭では、沖縄線香ヒラウコー特有の煙や灰が気になり、後片付けの手間が問題となることもあります。
 
そのような背景から、沖縄線香ヒラウコーの本数に応じて日本線香を換算して供える方法が、実用的な選択肢として広まりつつあります。
 

【たとえば──】
 
●「ジュウゴフンウコー(十五本御香)」:
沖縄線香ヒラウコー2枚組と半分(15本分) → 日本線香5本
 
●「ジュウニフンウコー(十二本御香)」:
沖縄線香ヒラウコー2枚組(12本分) → 日本線香4本
 
●「サンブンウコー(三本御香)」:
沖縄線香ヒラウコー半分(3本分) → 日本線香1本

 
といった具合に、1本の日本線香を沖縄線香ヒラウコー3本分に相当するものとして扱う換算方法が知られています。
これは、沖縄における「天・地・海」の三神信仰に基づいた“三位一体”の考え方にも通じており、御願(ウグァン)の簡略化に対しても一定の納得感が得られるものです。
 
また、かつての沖縄では、日本線香は香りが高く、上等で貴重なものとされていました。そのため「カバシウコー(香り御香)」とも呼ばれ、特別な御願にだけ用いられる高級線香として扱われていた時代もあります。
 
そうした背景をふまえ、現在では日本線香で拝むことを「御願不足(ウグァンブスク)」とは捉えないという考え方も増えています。仏壇がコンパクト化される現代の暮らしに合わせて、香りと煙のバランスを取りながら「続けやすい御願(ウグァン)」を選ぶことが、今の沖縄では自然な流れになりつつあるのです。
 

 
 

まとめ|沖縄のお盆は「意味を知れば覚えやすい」


まとめ|沖縄の旧盆2025年は“家族で守る大切な文化”
沖縄の旧盆は、ウンケー・ナカビ・ウークイの三日間を通して、ご先祖様をお迎えし、供養し、お見送りする大切な行事です。旧暦で日程が決まるため、毎年新暦では日付が異なり、2025年のようにユンヂチ(閏月)の年は9月4日(木)~6日(土)と大幅にずれ込むこともあります。
 
仏壇の飾り方、御膳料理(ウサギムン)の供え方、ウージやヒラウコーの意味など、沖縄ならではのしきたりにはそれぞれ深い意味が込められており、「形だけ」ではない文化の継承が息づいています。
 
また、タナバタでのお墓参りや、ナカビのお中元まわり、日本線香での拝み方など、生活様式の変化とともに柔軟に受け継がれている風習もあります。
 
御願(ウグァン)は本来、形ではなく“心を込めて供える”ことが大切だとされてきました。仏壇を整え、ヒラウコーや果物、ダーグ(団子)などを丁寧に供え、ご先祖様を迎える時間は、日々の暮らしを見つめ直すきっかけにもなります。
 
毎年訪れる沖縄の旧盆──。
意味を知って向き合えば、準備も覚えやすくなり、ご先祖様とのつながりを今まで以上に感じられるはずです。
 

 
 



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