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【沖縄の御願】旧暦6月のウマチー・カシチー|収穫感謝の拝み方

【沖縄の御願】旧暦6月のウマチー・カシチー|収穫感謝の拝み方
旧暦6月の沖縄では、稲の収穫に感謝を捧げる御願行事が続きます。
…旧暦6月15日の「ルクグァッチウマチー」、そして旧暦6月24日・25日の「ルクグァッチカシチー」です。

 

琉球王朝時代には集落単位で大切に行われてきたこれらの御願行事も、現代の都心部ではすっかり見かけなくなりました。
それでも地域の拝所や門中単位での御願、そして家庭のヒヌカン(火の神)や仏壇に手を合わせる形で、今も大切に続けている家は少なくありません。

 

本記事では、旧暦6月に行うウマチーとカシチー、それぞれの意味と家庭での拝み方をご紹介します。

 

※本記事は、公益財団法人「沖縄県メモリアル整備協会」が作成しています。地域の習わしを大切に、沖縄の暮らしに根ざした情報をお届けします。(2026年6月27日更新)

 

 



 
 

旧暦6月の沖縄の御願とは?


旧暦6月の沖縄の御願とは?
◇旧暦6月の沖縄では、稲の収穫に感謝を捧げる御願行事が二つ続きます。
…旧暦6月15日の「ルクグァッチウマチー」と、旧暦6月24日・25日の「ルクグァッチカシチー」です。

 

またウマチー・カシチーの時期には、豊作への感謝と祈願を込めた「ウマチージナ」「カシチージナ」と呼ばれる綱引き行事を行う集落もあります。
沖縄の綱引き行事については下記コラムをご参照ください。

 

 
 

琉球王朝時代から続く収穫感謝の儀礼

◇沖縄のウマチーは、琉球王朝時代から続く大切な収穫感謝の儀礼です。
…琉球王朝では旧暦2月・3月・5月・6月の四回、「ウマチー」が行われていました。
王朝に仕える神人「ノロ」が列をなして地域の御嶽(うたき)を巡り、収穫への感謝と集落の繁栄を祈願する、国を挙げての御願行事でした。

 

●なかでも旧暦6月のルクグァッチウマチーは、稲の収穫が終わった直後に行う「大祭」として特に重要視されてきました。
…収穫した稲穂で神酒「ウンサク」を作り、拝所へ供える習わしは、今も一部の地域や門中で受け継がれています。

 

四回あったウマチーのうち、現代まで比較的多くの地域で行われているのが、この旧暦6月のルクグァッチウマチーです。

 
 

現代に残るウマチー・カシチーの形

◇都心部ではすっかり見かけなくなったウマチー・カシチーですが、地域や家庭の形で今も続いています。
…地域単位では、拝所での御願や綱引き行事として残るところもあります。
また門中単位では、宗家(ムートゥーヤー)に集まり、神棚や拝所へお供え物をして手を合わせる形が見受けられます。

 

●家庭単位では、ヒヌカン(火の神)と仏壇にカシチー(おこわ)とお酒を供えて拝む形が、現代の沖縄で最も広く残っているスタイルです。

 

ウマチーとカシチーは別々の日に行う異なる御願ですが、どちらも「旧暦6月の収穫感謝」という共通のテーマを持ちます。
次のセクションから、それぞれの拝み方を詳しくご紹介します。

 
 

ルクグァッチウマチー(旧暦6月15日)


ルクグァッチウマチー(旧暦6月15日)
◇2026年のルクグァッチウマチーは7月28日(火)です。
…旧暦6月15日のルクグァッチウマチーは、稲の収穫を祝い、感謝を捧げる沖縄のウグァン(御願)行事です。

 

[沖縄の旧暦6月|2026年7月の旧暦行事カレンダー]
【2026年7月】沖縄の旧暦6月|ウマチー・カシチー・綱引きの日程と行事解説

 
 

ルクグァッチウマチーとは?

◇「ルクグァッチ」は「六月」、「ウマチー」は「御祭」を意味します。
…旧暦6月15日に、稲の収穫が無事に終わったことへの感謝と、来年の豊作を祈願する儀礼です。

 

琉球王朝時代には、王朝に仕える神人「ノロ」が地域の御嶽を巡り、集落全体で行う大切な御願行事でした。

 

●ルクグァッチウマチーには「穂祭」と「大祭」の二種類があります。
…穂祭はまだ成っていない穂で神酒「シルマシ」を作り、大祭では収穫した穂で神酒「ウンサク」を作ってお供えするのが本来の習わしです。

 

旧暦6月15日は大祭にあたります。
現代では集落単位で行う地域は少なくなりましたが、門中単位や家庭単位で続けている家も少なくありません。

 

 
 

集落・門中単位での拝み方

◇集落単位でルクグァッチウマチーを行う地域では、地域の拝所(御嶽)へ出向いてお供え物をします。
…かつては神人「ノロ」が拝所を巡っていましたが、現代では地域の代表者や門中の宗家(ムートゥーヤー)が中心となって行う形が多くなっています。

 

●門中単位で行う場合は、宗家の祖神(ウヤグァン)まで参拝し、手を合わせましょう。

 

また、ヤマドゥミ・ウミドゥミ(山や海への立ち入りを禁ずる物忌み行事)がこの時期に解かれるため、ルクグァッチウマチーの後に綱引き行事を行う地域も見受けられます。

 
 

拝所へのお供え物|ウンサクと花米

拝所へのお供え物|ウンサクと花米
◇拝所へのお供え物は、収穫した稲穂で作った神酒「ウンサク」と「花米(ハナグミ)」が中心です。

 

<拝所へのお供え物>
・稲の穂
・神酒「ウンサク
・花米(まだ洗っていない新米)

 

これらを膳に並べ、ヒラウコーをタヒラ半(2枚と半分=日本線香15本分)拝して、手を合わせます。

 

●ウンサクは大きな門中では朝から、その年の担当者「アタリ」を中心に作りますが、小さな門中や個人では難しい場合もあります。
現代ではヤクルトや市販の「ミキ」で代用することもあります。花米は洗っていない状態の新米のことで、神様へのお供え物として使います。

 

※門中や地域によって、ウンサクの作り方や、扱い方も異なります。

 

【スタッフのマメ知識①】ウンサクはヤクルトで代用も

 

ルクグァッチウマチーで拝所や神棚に供える神酒「ウンサク」は、本来は収穫した稲穂で作る発酵飲料です。

 

大きな門中では朝からアタリ(その年の担当者)を中心に皆で仕込む光景も見られますが、小さな門中や家庭単位では作ること自体が難しくなっています。

 

現代ではヤクルトや市販の「ミキ」で代用するケースも珍しくありません。形式よりも、収穫への感謝を伝える気持ちを大切にしましょう。

 

スタッフ経験談より

 

また、拝所での御願には、お供え物を入れて持ち運ぶ「ビンシー」を使うのが一般的です。ビンシーの詳しい使い方や、ミハナ(御花)の作り方については下記コラムをご参照ください。

 

[ミハナ(御花)やビンシーについて詳しく]
【沖縄の御願】屋外の拝みで用いる「ビンシー」とは

 
 

神棚へのお供え物と拝み方

神棚へのお供え物と拝み方
◇拝所への参拝を終えたら、宗家の神棚にもお供え物をして手を合わせます。

 

<神棚へのお供え物>
・花米(新米)
・神酒(ウンサク
・ムィグァーシ(菓子の盛り合わせ)
・ナイムン(果物)の盛り合わせ

 

●神棚へのお線香
・沖縄線香「ヒラウコー」…タヒラ(2枚)
※日本線香なら12本、簡略化する場合は4本

 

ムィグァーシ(菓子の盛り合わせ)は、ウグァン(御願)用のお菓子店もあります。落雁(らくがん)やマキグァーシなどが伝統的ですね。

 

ナイムン(果物)は、基本的にはバナナ・りんご・ミカンとされていますが、現代では何でも構いません。
お菓子や果物など、沖縄のお供え物について、詳しくは下記をご参照ください。

 

 
 

地域によって違う呼び名

◇ルクグァッチウマチーは地域によって呼び名が異なります。沖縄本島以外の離島地域では、独自の形で受け継がれています。

 

●①粟プース(夏プース・六月プース)
…宮古地方の呼び名です。
神に仕える女性が御願を行い、お供えするお酒が稲穂ではなく粟になるのが特徴です。

 

●②プーリィ(プール)
…八重山諸島の呼び名です。
二日間に渡って行われ、一日目は神に仕える女性による御願、二日目は集落でのお祝いとなります。

 

もともと琉球王朝では旧暦6月と定められていましたが、正確な日にちは決まっていませんでした。そのため離島地域では旧暦6月の「吉日」に行う形が今も続いています。

 
 

ルクグァッチカシチー(旧暦6月24日・25日)


ルクグァッチカシチー(旧暦6月24日・25日)
◇2026年のルクグァッチカシチーは8月6日(木)・7日(金)です。
…旧暦6月24日・25日のルクグァッチカシチーは、家庭のヒヌカン(火の神)と仏壇に新米のおこわを供えて、収穫の感謝を伝える御願行事です。

 
 

ルクグァッチカシチーとは?

◇「ルクグァッチ」は「六月」、「カシチー」は「強飯」と書き、もち米で炊いたおこわのことです。
…収穫したての新米でおこわを炊いてお供えするのが、この御願行事の由来です。

 

ルクグァッチウマチー(旧暦6月15日)が集落・門中単位の御願であるのに対して、ルクグァッチカシチーは家庭単位で行う御願です。旧暦6月24日・25日の両日のうち、いずれかの日に行う家庭がほとんどです。

 

●ルクグァッチカシチーでは白いおこわ「シルカシチー(白強飯)」を供えます。もち米:白米=1:2ほどが目安です。
一方、ハチグァチカシチー(八月強飯)では、もち米と小豆で炊く赤いおこわが一般的です。
地域や家によって異なりますので、ご家庭の慣習に合わせて準備してください。

 

【スタッフのマメ知識②】シルカシチー、電気圧力鍋で簡単に

 

ルクグァッチカシチーで供えるシルカシチー(白強飯)は、もち米を水に浸けてから蒸して作るのが本来の作り方です。

 

ただ現代では蒸し器を持たない家庭も増えており、電気圧力鍋を使うと手軽においしく炊き上がると好評です。
少量だけ作りたい場合は、炊飯器の「おこわモード」を使う方法も。ヒヌカンへはお茶碗一杯分あれば十分ですので、気負わず準備してみてください。

 

スタッフ経験談より

 
 

ヒヌカンへのお供え物と拝み方

ヒヌカンへのお供え物と拝み方
◇ルクグァッチカシチーの御願では、まずヒヌカン(火の神)へお供え物をして手を合わせます。

 

<ヒヌカンへのお供え物>
・お酒
・塩
・水
・チャーギなどの葉
・カシチー(茶碗一杯)

 

●ヒヌカンへのお線香…ジュウゴフンウコー(十五本御香)
・沖縄線香ヒラウコー…タヒラ半(2枚半)
・日本線香…15本分、簡易版では5本

 

収穫の報告と感謝を伝え、来年も豊かな実りが続くよう、手を合わせましょう。

 
 

お仏壇へのお供え物と拝み方

お仏壇へのお供え物と拝み方
◇ヒヌカンへの拝みを終えたら、続いてお仏壇にもお供え物をして手を合わせます。

 

<お仏壇へのお供え物>
・お茶一対(二杯)
・お酒
・供え花一対(二基)
・カシチーの膳
 (カシチー・酢の物の小皿・汁もの)
※カシチーの膳にはお箸も添えてお供えしてください。

 

●お仏壇へのお線香…ジュウニフンウコー(十二本御香)
・ヒラウコー…タヒラ(2枚)
・日本線香…12本分、簡易版では4本

 

ご先祖様へ収穫の報告と感謝を伝え、来年も見守っていただくようお願いしましょう。

 
 

この時期の地域の御願


この時期の地域の御願
◇旧暦6月の収穫感謝の御願は、地域によって呼び名や形が異なります。
…ルクグァッチウマチー・カシチーと並んで、南部・中部それぞれの地域で行われるウグァン(御願)行事をご紹介します。

 
 

南部地域|アミシの御願

◇南部地域を中心に行われる「アミシの御願」は、稲の収穫を祝い、感謝を捧げる御願行事です。
…「アミシ」は沖縄の言葉で「水浴び」を意味します。

 

古くは朝一番に汲んだ井戸の水「若水(ワカミジ)」を指の腹に浸けて額に当てる「ミジナティー」を行い、身を清める儀礼でした。人だけでなく、牛や馬も若水で沐浴をしていたとされています。

 

●現代ではミジナティーの風習はほとんど見られなくなりましたが、地域単位での綱引き行事として今も続いているところがあります。
家庭では、ヒヌカンと仏壇にお酒と新米で炊いたご飯(ウブク)をお供えして手を合わせます。

 
 

中部地域|ミーメーウイミ

◇中部地域では、旧暦6月の収穫感謝の御願を「ミーメーウイミ(新米の御願)」と呼びます。
…「ミーメー」は「新米」、「ウイミ」は「御忌み」を意味し、新しく収穫した米に感謝を捧げる御願行事です。

 

南部のアミシのウグァン(御願)と同じく稲の収穫感謝を目的としていますが、中部地域ではもち米のカシチーではなく、新米で炊いたご飯(ウブク)をお供えする家が多い傾向にあります。

 

●家庭では、ヒヌカンと仏壇に新米のご飯とお酒をお供えして、収穫の報告と感謝を伝えます。
地域や家によって細かい作法は異なりますが、新米を最初にヒヌカンとご先祖様に供えるという気持ちは共通しています。

 
 

まとめ|旧暦6月のウマチー・カシチー、拝み方のポイント


まとめ|旧暦6月のウマチー・カシチー、拝み方のポイント
旧暦6月の沖縄では、稲の収穫感謝の御願が続きます。時系列で整理するとこうなります。

 

<2026年・旧暦6月の御願>
・旧暦6月15日(2026年7月28日・火)…ルクグァッチウマチー
・旧暦6月24日(2026年8月6日・木)…ルクグァッチカシチー
・旧暦6月25日(2026年8月7日・金)…ルクグァッチカシチー

 

ルクグァッチウマチーは集落・門中単位で拝所や神棚に手を合わせるウグァン(御願)、ルクグァッチカシチーは家庭のヒヌカンと仏壇にシルカシチー(白強飯)を供えて手を合わせるウグァン(御願)です。

 

どちらも琉球王朝時代から続く大切な収穫感謝の儀礼ですが、都心部ではすっかり見かけなくなりました。それでも家庭単位でヒヌカンや仏壇に手を合わせる形であれば、現代の暮らしの中でも無理なく続けることができます。

 

新米でおこわを炊いてお供えする。その小さな一手間が、ご先祖様や神様への感謝を伝える大切な時間になります。

 

【監修者:東恩納 寛寿(ひがしおんな ひろひさ)】
東恩納写真
公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会 終活支援部長

 

●経歴
19XX年、沖縄県名護市出身。
米国・南ユタ大学コミュニケーション学部卒業。
県内大手建設会社勤務を経て、2007年に公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会に入社。長年、お墓の企画提案や販売業務の第一線に従事し、中城メモリアルパーク所長を歴任。現在は終活支援部長として、沖縄の供養文化と現代のニーズを繋ぐ活動に注力している。

 

●資格・活動
・終活カウンセラー1級(沖縄県初取得者)
一般社団法人 全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部 幹事

 

●実績
県内各自治体、社会福祉協議会、医療法人、老人ホーム等での出張セミナーや講演を累計500回以上実施。沖縄タイムス等のメディア寄稿を通じ、相続や空き家問題、墓じまいに関する啓発活動を行っている。

 
 



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