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沖縄移住者・県外出身者のための清明祭(シーミー)入門。本州のお墓参りとここが違う

沖縄移住者・県外出身者のための清明祭(シーミー)入門。本州のお墓参りとここが違う
「沖縄のお墓参りって、なんでお墓の前でピクニックしてるの?」
——沖縄に移住してきた方や、県外出身で初めて清明祭(シーミー)を見た方から、こんな感想をよくいただきます。
 
本州のお墓参りといえば手を合わせて線香を上げ、短時間で済ませるのが一般的ですよね。
 
ところが沖縄の清明祭(シーミー)は、大勢の親族が集まり、重箱料理を並べて賑やかに過ごす、まるでお祭りのような光景が広がります。
 
この違いは単なる「やり方の差」ではなく、沖縄独自のご先祖様への向き合い方・お墓の文化・食を通じたおもてなしの心から生まれています。
 
本記事では、本州との違いに着目しながら、沖縄の清明祭(シーミー)の文化と基礎知識を分かりやすくお伝えします。
 

※本記事は、公益財団法人「沖縄県メモリアル整備協会」が作成しています。
地域の習わしを大切に、それぞれの家らしい心のこもったご供養の一助となれば幸いです。(2026年3月25日更新)

 



 
 

清明祭(シーミー)とは何か。本州のお墓参りとの根本的な違い



 
 

弔事ではなくお祝い行事である

◇沖縄の清明祭(シーミー)は、慶事の位置付けです。
「こんなに元気に集まっていますよ」とご先祖様へ報告し、ともにお祝いの場を囲む——これが清明祭(シーミー)の本質です。
 
一方、本州のお墓参りは、故人や先祖を「供養する」弔事として位置づけられています。お彼岸やお盆のお墓参りは静かに手を合わせ、しめやかに過ごすのが一般的ですよね。
 

【本州のお墓参りと清明祭(シーミー)の違い】
 
●本州のお墓参り
 ・弔事(供養)
 ・静かにしめやかに
 ・短時間で済ませることが多い
 ・お彼岸・お盆など
 
●清明祭(シーミー)
 ・慶事(お祝い)
 ・賑やかに楽しく
 ・親族が集まり長時間過ごす
 ・清明の節気(4月頃)

 
そのため、喪中は清明祭(シーミー)を控えます
その代わり、弔事として行われるお墓参り行事である、旧暦1月16日の「ジュールクニチー(十六日)」にお参りをします。
 
お正月に年賀状を出さないのと同じ考え方です。移住してきた方が最初に驚くポイントのひとつでしょう。
 
 

時期の決め方が本州と違う

◇清明祭(シーミー)は、二十四節気の清明(せいめい)の節気に行います。
…二十四節気は、毎年少しずつ日付が変わるため、年によって時期が前後します。
 
本州では春と秋のお彼岸の暦が、毎年変わりますよね。
お彼岸も国立天文台が発表する「春分の日」「秋分の日」を基準とするためです。
 

 ●2026年は4月5日(日)~19日(日)が、清明祭(シーミー)の時期です。
…この期間内であれば、家庭の都合に合わせていつ行っても問題ありません。

 
沖縄では一斉にお墓参りを行うため、清明祭(シーミー)の時期は、毎週土日が混雑しやすくなります。
2026年の詳しい日程・混雑日・おすすめ日はこちらをご覧ください。
 

 


【スタッフのマメ知識】
本州から沖縄に移住された方が清明祭(シーミー)を初めて見て、
「お墓の前でこんなに賑やかにしていいの?」
と驚かれることが多いです。
 
でも沖縄では、ご先祖様も一緒に楽しんでいると考えます。
静かに手を合わせるだけが供養ではない、という沖縄の大らかな死生観が清明祭(シーミー)には表れていると思います。

 
 

沖縄のお彼岸はなぜ仏前供養が多いのか

◇沖縄では、お彼岸にお墓参りへ行く家庭は比較的少なく、仏前供養が中心です。
…一方、本州では春分・秋分の日を中心としたお彼岸にお墓参りをするのが一般的ですよね。
 

●春のお彼岸
(ウチマチヒングァン・内祀り彼岸)
 
…沖縄では春のお彼岸を「ウチマチヒングァン(内祀り彼岸)」と呼び、屋敷の神様への御願「ヤシチヌウグァン(屋敷の御願)」と仏前での供養がメインです。
お墓参りに行く家庭は少ないのが特徴です。

 
その背景のひとつとして考えられるのが、春のお彼岸の直後に清明祭(シーミー)が控えているという沖縄独自の暦の事情です。
 
わざわざお彼岸にお墓参りをしなくても、すぐ後に清明祭(シーミー)でお墓参りをするのだから
——という自然な役割分担が、長い時間をかけて定着してきたのかもしれません。
 

●秋のお彼岸
(フカマチヒングァン・外祀り彼岸)
 
…一方、秋のお彼岸は「フカマチヒングァン(外祀り彼岸)」と呼ばれ、春とは異なり外に出て拝む行事として、お墓参りに行く家庭や地域も一部ですが、見られます。

 
草木がもうもうと茂る夏の後に秋が訪れることもあるでしょう。
そして、春のお彼岸と違い、直後に大きなお墓参り行事が控えていないことも、その理由のひとつかもしれません。
 

【沖縄のお彼岸と本州の違い】
 
●本州のお彼岸
 ・春分・秋分の日を中心に
 ・お墓参りが一般的
 ・先祖供養の弔事
 
●沖縄の春のお彼岸
(ウチマチヒングァン)
 ・仏前供養・屋敷の御願がメイン
 ・お墓参りに行く家庭は少ない
 ・直後に清明祭(シーミー)が控える
 
●沖縄の秋のお彼岸
(フカマチヒングァン)
 ・一部の家庭・地域ではお墓参りも
 ・春のお彼岸より外に出る行事として位置づけられている

 
このように沖縄のお彼岸は、本州とは全く異なる独自の役割を持っています。
春のお彼岸が終わったらすぐに清明祭(シーミー)の準備を始めるのが、沖縄の春の暦の流れです。
 

 
 

お墓が違う。沖縄のお墓の特徴


【ミージュールクニチー(新十六日)当日の朝】お墓参りの手順
 
 

沖縄のお墓はなぜあんなに大きいのか

◇沖縄を訪れた観光客が最初に驚くもののひとつが、お墓の大きさです。
…本州のお墓は縦長の墓石が立っているのが一般的ですが、沖縄のお墓は家と見間違えるほど横に広く、屋根や扉まで備えた独特の形をしているものもあります。
 
この形には理由があります。
 
沖縄では昔から風葬による「洗骨(せんこつ)」という風習がありました。
故人が亡くなってから数年後に遺骨を取り出して洗い清め、骨壺に納め直すという儀式です。
 
そのためお墓の中に人が入れるほどの広さが必要とされ、家のような大きな形になったとされています。
 

【沖縄のお墓の主な形】
 
●亀甲墓(かめこうばか)
 ・女性の子宮を表すとされる丸みを帯びた形
 ・沖縄本島中南部に多い
 
●破風墓(はふばか)
 ・屋根が三角形の切妻造り
 ・本州の家屋に似た形
 ・沖縄各地に見られる

 
近年では土地の問題や維持管理の観点から、大きな個人墓地への新規建墓が難しくなり、本州と同じようなコンパクトな霊園墓・納骨堂を選ぶ家庭も増えています。
 

【沖縄の大きなお墓について詳しく】
沖縄のお墓は正に「家」。琉球墓の5つの魅力とは

 
 

門中墓とは何か

◇沖縄のお墓でもうひとつ特徴的なのが「門中墓(むんちゅうばか)」の存在です。
…門中とは父方の血縁でつながる一族のことで、その一族全員が入る大きなお墓が門中墓です。
 
本州では家族単位でお墓を持つことが一般的ですが、沖縄では門中全体で一つの大きなお墓を共有することが多く、清明祭(シーミー)も門中全員が集まって執り行うのが昔ながらの形です。
 
そのため清明祭(シーミー)には数十人規模の親族が集まることも珍しくありません。
 

 
 

個人墓地に建つ個人墓が多い

◇沖縄では、個人所有の土地にお墓が建つ「個人墓」が多く見られます。
…畑や山の斜面、道路沿いの他、街中に突然現れる大きなお墓もあるでしょう。
 
一方、本州では霊園や寺院の墓地など、管理者がいる施設にお墓を建てるのが一般的です。
 
これは沖縄が琉球王朝の歴史があり、本州のように寺院墓地に建てる「檀家制度」が根付いていないこと、戦後のアメリカ時代が影響しています。
 
沖縄を車で走ると、住宅地や農地のすぐ隣にお墓が点在している光景が目に入りますよね。本州出身者が初めて沖縄を訪れた際に驚く光景のひとつです。
 

【本州と沖縄のお墓の管理形態の違い】
 
●本州
 ・霊園・寺院墓地が一般的
 ・管理者(霊園・寺院)がいる
 ・管理費を支払って維持する
 ・区画が整備されている
 
●沖縄(従来)
 ・個人所有の土地にお墓を建てる
 ・管理者がいない
 ・一族(門中)で管理・維持する
 ・畑・山・道路沿いなどに点在

 
この個人墓地文化には歴史的背景の他、古くからの考え方も影響しています。
一族の土地にご先祖様が眠るという考え方が根強く、代々その土地と一緒にお墓も守り続けてきました。
 
ただし近年では、後継者不足や土地の相続問題などから個人墓地の維持が難しくなり、霊園や納骨堂へ移行する家庭も増えてきました。
 
沖縄のお墓事情は今まさに大きな転換期を迎えています。
 

 
 

近年のコンパクト墓・霊園事情

◇コンパクトなお墓でも清明祭(シーミー)は十分に執り行えます。
…前述の通り、近年では沖縄でも霊園やコンパクト墓・納骨堂を選ぶ家庭が増えています。管理のしやすさ・費用・後継者問題など、理由はさまざまです。
 
清明祭(シーミー)は執り行うことができますが、昔ながらの大きなお墓と比べると墓前スペースが限られるため、ウサンデーの場所などを事前に確認する必要があるでしょう。
 


【スタッフのマメ知識】
 
本州から沖縄に移住された方が
「沖縄のお墓って本当に家みたい!」
と驚かれるのはよくある光景です。
 
大きなお墓には一族全員が入るため、清明祭(シーミー)では普段なかなか会えない遠い親戚とも顔を合わせる機会になります。
 
沖縄のお墓はまさに「ご先祖様の家」なんですよね

 

【沖縄の霊園で行う清明祭(シーミー)のポイントや注意点】
霊園・コンパクト墓でのシーミー(清明祭)。スペース・ウサンデーの工夫と準備ポイント

 
 

お供え物が違う。重箱料理「ウサンミ(御三味)」とは


シーミー当日の流れ
 
 

重箱料理をお供えする沖縄独自の文化

◇沖縄のお供え物は、重箱料理「ジューバク(重箱)」が定番です。
…そのジューバク(重箱)に詰めるご馳走おかずが「ウサンミ(御三味)」と呼ばれます。
 

 ●おかず重2箱ともち重2箱の計4箱(チュクン)をお供えするのが清明祭(シーミー)の基本です。

 
つまり、ウサンミ(御三味)とは、重箱に詰めたご馳走のことです。
清明祭(シーミー)でも当然供えるウサンミ(御三味)は、海の幸・山の幸・大地の幸を心を込めてご先祖様へお供えするという意味合いがあります。
 

【清明祭のウサンミ(慶事用)基本構成】
 
●おかず重(2箱)
 ・豚の三枚肉の煮付け
 ・結び昆布の煮しめ
 ・ごぼうの煮付け
 ・大根の煮付け
 ・魚の天ぷら
 ・紅白かまぼこ など
 
●もち重(2箱)
 ・白もち
 ・色もち
 (アンコ・黒糖・よもぎなど)
 ・奇数個(9個・15個・21個)詰める

 
清明祭(シーミー)はお祝い行事ですので、ウサンミ(御三味)も慶事用を準備します。赤かまぼこ・色もち・結び昆布が慶事用の目印です。
 

 
 

肉料理がお供え物の定番——精進料理との大きな違い

◇沖縄では、お供え物に肉料理が欠かせません。
 
一方、本州の法要・お供え物といえば、肉や魚を使わない「精進料理」が基本ですよね。殺生を禁じる仏教の教えに基づき、野菜・豆腐・豆類を中心とした食事でご先祖様をお迎えします。
 

 ●沖縄で肉料理が供えられる背景には、琉球王朝の時代から「肉こそが最高のご馳走」という食文化が根付いてきた歴史があります。
 
…ご先祖様へ最高のおもてなしをしたい
——その気持ちが、肉料理をお供えする文化につながっています。

 
また、沖縄には独自の先祖崇拝・自然崇拝などを含む「琉球神道」が人々の信仰の基盤にあり、本州ほど仏教が根付いていない背景もあるでしょう。
 
沖縄ではお通夜の席でも、豚肉を茹でた「シラベーシ」が供えられるほど、肉料理は供養の場に欠かせない存在です。
 

【本州と沖縄のお供え物の違い】
 
●本州
 ・精進料理が基本
 ・肉・魚は使わない
 ・野菜・豆腐・豆類が中心
 ・殺生を禁じる仏教の教えに基づく
 
●沖縄
 ・肉料理が定番
 ・豚の三枚肉の煮付けが重箱の主役
 ・魚の天ぷらも定番おかずのひとつ
 ・お通夜でも豚肉料理(シラベーシ)を供える
 ・琉球王朝の食文化が背景にある

 
重箱料理でも、ラフテー(豚の三枚肉の煮付け)は最も重要なおかずとして墓前(お仏壇)側の中央に配置されます。また魚の天ぷらなど、本州の法要では使われない食材も沖縄では定番のお供え物として親しまれています。
 
沖縄の食文化は「豚は鳴き声以外全て食べる」と言われるほど豚肉への愛着が深く、それはご先祖様へのお供え物にも表れているほどです。
 
最高のご馳走でご先祖様をおもてなしする
——これが沖縄の御願文化の根底にある考え方と言えます。
 

【沖縄の重箱料理「ウサンミ(御三味)」レシピ】
ウサンミ(御三味)を手作りしよう。シーミーの定番おかず基本レシピ全集

 
 

本州の線香との違い

◇沖縄では「ヒラウコー(平線香)」という板状の線香が根付いています。
…本州のお墓参りでは束になった棒状の線香を使いますが、6本が一枚にくっついた独特の形をした「ヒラウコー(平線香)」が一般的です。
 
日本線香3本分となる「半ヒラ(半分)」を使用する際には、溝に沿って半分に割って使います。
 

 ●またお墓参りの最後には「ウチカビ(打ち紙)」と呼ばれる黄色い紙を燃やします。

 
ウチカビはあの世のお金として知られ、墓前で燃やすことでご先祖様へお金を届けるという意味があります。
 

【本州と沖縄の線香・お供えの違い】
 
●本州
 ・棒状の線香(束)
 ・花・水・故人の好物など
 ・お金は供えない
 
●沖縄
 ・ヒラウコー(平線香)
 …板状・6本1枚・半分に割って使う
 
 ・ウサンミ(御三味)=重箱料理
  
 ・ウチカビ(打ち紙)
 …あの世のお金・墓前で燃やす
 
 ・果物・お菓子・お酒なども供える

 
ただし近年の沖縄では仏壇のコンパクト化に伴う香炉の小型化や、煙の少ない日本線香の利点などから、日本線香を用いる家庭も増えました
状況に合わせて選ぶと良いでしょう。
 
ヒラウコー・ウチカビはどちらも沖縄のスーパーやホームセンターで手軽に購入できます。100円前後から販売されていますので、移住してきたばかりの方もぜひチェックしてみてください。
 


【お客様の声】
 
本州出身の私には、お墓の前に重箱料理が並ぶ光景が最初は不思議でした。
 
でも義母から「ご先祖様へのおもてなしだよ」と教えてもらって、なんて温かい文化なんだろうと感動しました。
 
今では毎年ウサンミを手作りするのが楽しみになっています」

 

【沖縄のウチカビやシルカビについて詳しく】
【沖縄の御願】拝みに欠かせない「シルカビ」と「ウチカビ」

 
 

拝み方が違う。沖縄独自のウグァン(御願)の作法


拝み方が違う。沖縄独自のウグァン(御願)の作法
 
 

ヒヌカンとは何か。台所に宿る火の神様

◇沖縄には「ヒヌカン(火の神)」という神様が家庭の台所に祀られています。
…ヒヌカンは台所の火を守る神様であり、その家族の守護神でもあります。
 
ヒヌカン(火の神)は香炉の灰に宿るとされ、ウコール(香炉)を台所に置いて祀るのが一般的です。
 

 ●沖縄ではヒヌカン(火の神)は、その家の執事的な役割を果たし、古くから家庭の中心的な存在として大切にされてきました。

 
そこで清明祭(シーミー)をはじめとする御願(ウグァン)の日には、朝一番にヒヌカンへお供えをして「今日は清明祭(シーミー)を執り行います」とご報告し、無事にウグァン(御願)が済むよう見守りをお願いしてきました。
 

【ウグァン(御願)の日のヒヌカンへの流れ】
 
(1) 朝一番にヒヌカンへ、お供え物を整える(花・お茶・水・お酒)
 
(2) 今日の御願の内容をご報告する
 
(3) 無事に御願が済むよう、見守りをお願いする
 
(4) お仏壇へも同様にご報告する
 
(5) お墓へ出発する

 
近年ではヒヌカン(火の神)を祀る家庭も減少しつつありますが、本州出身者が沖縄の家庭を訪れた際に「台所に小さな祭壇がある」と気づくことがありますが、それがヒヌカンです。
 
沖縄では台所こそが家の中心であり、ヒヌカンはその家族の日常とウグァン(御願)の両方を見守る存在なのです。
 

【沖縄の台所に祀られてきたヒヌカン(火の神)について詳しく】
ヒヌカンはどんな神様?迎え入れる前の知識
【沖縄の御願、歳時記】屋敷の神、火の神(ヒヌカン)の置き方

 
 

ヒジャイガミとは何か

◇ヒジャイガミ(左の神)はお墓を守る土地神様です。
…清明祭(シーミー)の際には墓前への御願の前にヒジャイガミへのご報告から始めます。
 
お墓に到着してまず最初に向かうのが、墓石の左側(参拝する側からは右側)にいらっしゃる「ヒジャイガミ(左の神)」です。
 
本州のお墓参りでは墓石に向かって一礼してすぐに手を合わせますが、沖縄では土地神様への挨拶を欠かさないのが大きな違いです。
 

【清明祭でのヒジャイガミへのお供え物】
 
・お酒
・シルカビ(白い紙)
 
・重箱カタシー
 ※もち重1箱・おかず重1箱)
 
・ヒラウコー(平線香)
 ※タヒラ(2枚=日本線香12本)

 
ヒジャイガミへの御願を終えてから、おかず重から初めてのおかず「ウハチ(お初)」を取り出し、準備をしてきた補充用おかず「ウチジヘージー」で補充してから墓前にお供えします。
 

【沖縄のお墓に鎮座するヒジャイガミについて詳しく】
【沖縄の御願】お墓に住む「ヒジャイガミ」、5つの基本

 
 

ヒラウコー・ウチカビの使い方

◇ウチカビ(打ち紙)は「あの世のお金」です。
…ご先祖様があの世でお金に困らないよう、煙にして天へ届けます。
 
ヒラウコーは、1枚6本がくっついた板状の形をした、沖縄独自のお線香です。かつて沖縄では日本線香は高級なものとされ、代わりに庶民の間では、でんぷんで作られた「ヒラウコー(平線香)」が用いられてきました。
 

●ヒラウコー(平線香)の拝し方
…溝に沿って半分に割り「半ヒラ(日本線香3本分)」にして使います。
参加者一人につき半ヒラを拝するのが基本です。
 
【ヒラウコーの基本の本数】
家長(施主):タヒラ(2枚=12本)
その他の参加者:半ヒラ(3本)

 

●ウチカビ(打ち紙)の焚き方
…ウグァン(御願)を終えたら、ウチカビをカビバーチ(アルミボール)の中で燃やしてご先祖様へ届けます。
 
【ウチカビの基本の枚数】
家長(施主):5枚
その他の参加者:3枚

 
ウチカビを燃やす際には必ずカビバーチを使い、燃え残りがないように最後まで見届けてから火を消してください。
 


【スタッフのマメ知識】
 
本州から移住された方が最初に戸惑うのが、台所のヒヌカンと墓前のヒジャイガミの存在です。
 
仏様だけでなく、家や土地を守る神様も一緒に大切にする
——これが沖縄の神仏習合の文化です。
 
清明祭(シーミー)はその文化が最も色濃く表れる行事のひとつですね

 

【ウチカビ・ヒラウコーについて詳しく】
ウチカビやヒラウコーの疑問。意外と曖昧な5つの事とは

 
 

ウサンデーとは。墓前での共食という文化


沖縄のお墓参りとシーミーの関係
 
 

なぜお墓の前で食事をするのか

◇ウサンデーとは、墓前のお供え物をウグァン(御願)後に下げて、集まった親族皆で分け合って食べることです。
…「お供え物を下ろす」という意味合いがあり、ご先祖様とともに食卓を囲むという考え方が込められています。
 
本州出身者が清明祭(シーミー)を初めて見て最も驚くのが、墓前でゴザを広げて皆で食事をする「ウサンデー」の光景ではないでしょうか。
 

 ●「お墓の前でピクニック?」と感じる方も多いですよね。

 
本州では「お墓の前で飲食するのは不謹慎では?」と感じる方もいるかもしれません。しかし沖縄では、ご先祖様も一緒に食事を楽しんでいると考えます。
 
賑やかに笑い声が上がるウサンデーの場こそが、ご先祖様への最高の供養
——そんな大らかな死生観が沖縄の文化には流れています。
 

【本州と沖縄の共食文化の違い】
 
●本州
 ・法要後の会食は別の会場で行う
 ・お墓の前で飲食することは少ない
 ・故人を「偲ぶ」しめやかな場
 
●沖縄
 ・墓前にゴザを広げてその場で共食
 ・お供え物を皆で分け合う
 ・ご先祖様と「ともに楽しむ」賑やかな場
 ・「まるでピクニックのよう」と形容されることも多い

 
 

現代のウサンデー事情

昔ながらの清明祭(シーミー)では、朝からおばぁを中心に女性陣が集まり、手作りのウサンミ(御三味)を準備してウサンデーを楽しむのが定番でした。
 
しかし現代では、ライフスタイルの変化に合わせてウサンデーのスタイルも柔軟に変化しています。
 

●仕出し弁当・オードブルの活用
…近年では、ウサンミ(御三味)は仕出し料理店やスーパーで注文し、ウサンデー用の食事は別途仕出し弁当やオードブルを手配する家庭が増えています。

 
準備の負担が大きく減り、当日をより楽しむ時間に充てられるようになりました。
 

●場所の工夫
…霊園やコンパクト墓では墓前スペースが限られるため、霊園内の広場・施設内の会場・周辺の会食会場・宗家(ムートゥーヤー)など、場所を移してウサンデーを行う家庭も増えています。

 

●規模の変化
…かつては門中全員が集まる大規模なウサンデーが一般的でしたが、近年では家族単位での小規模な清明祭(シーミー)も増えています。

 
人数が少なくても、ウサンデーの温かさは変わりません。
 


【お客様の声】
 
本州出身の私には、最初はお墓の前で食事をすることに少し戸惑いがありました。
 
でも実際にウサンデーに参加してみると、久しぶりに会う親族と笑いながら食事を囲む時間がとても温かくて。
 
ご先祖様もきっと喜んでいるんだろうなと自然に思えました。
今では清明祭(シーミー)の一番の楽しみがウサンデーです。

 
 

まとめ|沖縄のお墓参り文化を楽しもう


ウサンデーとは。墓前での共食という文化
本州のお墓参りとは全く異なる沖縄の清明祭(シーミー)。
 
最初は戸惑うことがあっても、その背景にある文化や考え方を知ると、沖縄の人々のご先祖様への深い敬意と温かさが伝わってきますよね。
 

【本州と沖縄のお墓参りの違いまとめ】
 
●行事の性格
・本州:弔事(供養)
・沖縄:慶事(お祝い)
 
●時期
・本州:お彼岸・お盆など
・沖縄:清明の節気(4月頃)
 →春のお彼岸は仏前供養がメイン
 →直後に清明祭(シーミー)が控える
 
●お墓の形
・本州:霊園・寺院墓地が一般的
・沖縄:個人墓地・亀甲墓・破風墓
 →門中墓(一族共有のお墓)
 →近年は霊園・納骨堂も増加
 
●お供え物
・本州:線香・花・精進料理
・沖縄:ヒラウコー・ウチカビ・
    ウサンミ(御三味)
 →重箱料理・肉料理が定番
 →豚の三枚肉・魚の天ぷらなど
 
●御願の作法
・本州:墓石に向かって手を合わせる
・沖縄:ヒヌカンへの報告→
    ヒジャイガミへの御願→
    墓前への御願の順で行う
 
●食事
・本州:法要後の会食は別会場で
・沖縄:墓前でゴザを広げてウサンデー
 →ご先祖様とともに共食を楽しむ

 
沖縄に移住してきた方や、県外出身で初めて清明祭(シーミー)に参加する方にとって、最初は戸惑うことも多いかもしれません。しかし「違い」を知れば知るほど、沖縄の文化の奥深さと温かさに気づかされます。
 
郷に入っては郷に従え」という言葉がありますが、清明祭(シーミー)に参加するうちに、自然とその文化が心に馴染んでいく
 
——そんな体験をされる方が多いです。ぜひ沖縄のお墓参り文化を楽しんでください。
清明祭(シーミー)についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
 

 


【監修者:東恩納 寛寿(ひがしおんな ひろひさ)】
公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会 終活支援部長
東恩納写真
 
●経歴
19XX年、沖縄県名護市出身。
米国・南ユタ大学コミュニケーション学部卒業。
 
県内大手建設会社勤務を経て、2007年に公益財団法人 沖縄県メモリアル整備協会に入社。長年、お墓の企画提案や販売業務の第一線に従事し、中城メモリアルパーク所長を歴任。現在は終活支援部長として、沖縄の供養文化と現代のニーズを繋ぐ活動に注力している。
 
●資格・活動
・終活カウンセラー1級(沖縄県初取得者)
・一般社団法人 全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部 幹事
https://akiya-okinawanago.org/
 
●実績
県内各自治体、社会福祉協議会、医療法人、老人ホーム等での出張セミナーや講演を累計500回以上実施。沖縄タイムス等のメディア寄稿を通じ、相続や空き家問題、墓じまいに関する啓発活動を行っている。

 
 



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