沖縄のトゥンジージューシー 2025|冬至に食べる行事食レシピとンムニーの供え方

沖縄の冬至「トゥンジー」では、家族の健康を祈願してトゥンジージューシー(冬至雑炊)を炊き、ヒヌカンや仏壇へ供える風習があります。
もともとはターンム(田芋)やチンヌク(里芋)を入れた雑炊でしたが、近年は炊き込みご飯のジューシーで手軽に作る家庭も増え、冬至の行事食として受け継がれてきました。
また、トゥンジージューシーと一緒に、ウンネーウイミ(芋折目)などのお祝い行事にも登場する「ンムニー(芋の練りもの)」を用意する家庭もあります。いずれも材料がシンプルで作りやすく、家庭の味がそのまま行事食になるのが沖縄らしさでもあります。
本記事では、2025年の冬至に向けて、トゥンジージューシーとンムニーの作り方、お供えの意味や手順をわかりやすくまとめました。
目次
沖縄のトゥンジージューシーとは?冬至(トゥンジー)の行事食の意味

沖縄では冬至を「トゥンジー」と呼び、家族の健康と無病息災を祈る日として大切に受け継がれてきました。
旧暦行事の多い沖縄でも、トゥンジーは天文学的に決まるため全国と同じ日付で行われますが、行事食の内容は本州とは大きく異なります。
本州では“かぼちゃを食べる・ゆず湯(柚子湯)に入る”という冬至の習慣が一般的ですが、沖縄では芋や豚肉・根菜を使ったジューシーを中心に準備し、家族の健康を願う文化が根づいています。
まずは、トゥンジージューシーが生まれた背景や食材が持つ意味を整理していきましょう。
昔のトゥンジージューシー|田芋・里芋を使う理由と“子孫繁栄”の願い
◇もともとのトゥンジージューシーは、ターンム(田芋)やチンヌク(里芋)など、沖縄の伝統的な芋をたっぷり入れて炊く雑炊が原型です。
…これらの芋は、根を掘ると子芋が連なって収穫できることから「子孫繁栄」「家族の健康と成長」を象徴する縁起の良い食材とされてきました。
…そのタイミングで滋養のある芋を用い、豚肉の旨味や濃いかつお出汁を合わせたトゥンジージューシーを食べることで、流行り病や“ヤナカジ(悪い風)”を祓う意味が込められていました。
家庭ごとに味は異なりますが、芋を中心に作るという根本の考え方は昔から変わりません。
現代のトゥンジージューシー|炊き込みご飯スタイルが増えた理由
◇近年の沖縄では、雑炊よりも炊き込みご飯のジューシーを“トゥンジージューシー”として作る家庭が増えています。
…炊飯器で簡単に作れる手軽さや、子どもも食べやすい味付けに調整しやすい点が広まった背景にあります。
また、豚バラ肉・干し椎茸・にんじん・昆布を細かく切り、米と一緒に炊き込むスタイルは現代の家庭料理とも相性が良く、忙しい年末でも取り入れやすいのが理由のひとつです。
炊き込み版・雑炊版のどちらにも共通しているのは、健康祈願の思いと、素材の旨味を大切にするという点です。
トゥンジージューシーの材料と下ごしらえ|2025年版の基本レシピ

◇トゥンジージューシーには「炊き込みご飯版」と「雑炊版」の二つがあり、どちらも家庭の味として親しまれてきました。
…具材は大きく変わりませんが、芋類の有無や出汁の使い方で仕上がりの特徴が異なります。2025年の冬至に作る際は、家庭のスタイルに合わせて選ぶと負担なく続けられます。
・豚肉
・干し椎茸
・昆布
・にんじん
・沖縄ならではの芋類
豚肉の茹で汁やかつお出汁が旨味の基礎となり、さらに白だしを加える現代的な方法も広がっています。ここでは、それぞれのレシピに使う材料と下ごしらえを整理しました。
①炊き込み版トゥンジージューシー|材料と分量の目安
◇炊き込みご飯版は、炊飯器で手軽に作れることから現代の家庭で最も多く取り入れられています。
…味の決め手となるのは、豚バラ肉の旨味と干し椎茸・昆布から出る出汁。具材はすべて小さめの賽の目状に揃えることで、食べやすく風味が均一になります。
・お米…2合
・もち米…1合(またはお米3合でも可)
・豚バラ塊…150~200g
・人参…中1/2本
・かまぼこ…適量
・干し椎茸…適量
・昆布…適量
・生姜スライス…2〜3枚
・白だし…小さじ1
・ガラスープの素…小さじ1
・酒・みりん…各大さじ1
・醤油…大さじ1
・塩…ひとつまみ
①豚肉はひたひたの水に生姜を入れて茹で、茹で汁は出汁として残す。
②干し椎茸は戻し汁を捨てず、具材はすべて5mm角ほどに賽の目にする。
③お米を洗い、炊飯器に“水+豚の茹で汁+椎茸の戻し汁”を合わせて3合分に調整する。
④具材と調味料を加えて炊飯し、炊き上がり後にしばらく蒸らすと味が馴染む。
炊き込み版は、もち米を少し加えるとコクと一体感が出ます。仕上げに牛脂を小さく落とすと、より沖縄らしいコクが出ておすすめです。
②雑炊版トゥンジージューシー|出汁に浸す伝統の作り方
◇雑炊版は、昔ながらの沖縄の“冬至雑炊”に近いスタイルです。
…炊き込みよりも芋の存在感が強く、ターンム(田芋)やチンヌク(里芋)を使うのが特徴です。お米を出汁に浸してから煮るため、旨味が全体に行き渡ります。
・お米…3合
・豚三枚肉…150g
・田芋・里芋…合わせて200g
・干し椎茸…2〜3枚
・人参…中1/2本
・かまぼこ…適量
・削り鰹節
・生姜スライス…2〜3枚
・醤油…大さじ2
・塩…適量
・サラダ油(または牛脂)…大さじ2
①豚三枚肉は生姜と一緒に茹で、茹で汁は取っておく。
②干し椎茸はかつお出汁でゆっくり戻し、具材を細かく賽の目に切る。
③鍋に油を入れ、お米を軽く炒めてコーティングする。
④豚の茹で汁+かつお出汁+椎茸の戻し汁を合わせ、強火で煮立てる。
⑤水分が減ってきたら弱火で炊き、しっかり蒸らして仕上げる。
雑炊版は、芋の甘みと豚肉のコクが合わさることで、冬至らしい滋養のある味に仕上がります。
冬至の行事食として長く愛されてきたのは、この温かさゆえともいえるでしょう。
トゥンジージューシーの作り方|炊飯器で簡単にできる手順

◇トゥンジージューシーは、材料さえそろえば炊飯器で手軽に作ることができます。
…下ごしらえを丁寧に行うことで、家庭でもしっかりと旨味が広がる仕上がりになります。ここでは、基本の流れを分かりやすくまとめています。
具材を賽の目にそろえ、豚肉の茹で汁や椎茸の戻し汁を活用することで、味の一体感が出て本格的な風味になります。
炊飯器ひとつで作れるため、冬至の準備をスムーズに進めたい家庭にも向いています。
①豚肉の下処理と出汁作り|コクと旨味を出す基本の工程
◇トゥンジージューシーの旨味を決めるのは、豚バラの下処理と茹で汁の扱い方です。
…丁寧に下茹でをして灰汁を取り除くことで、雑味のないクリアな出汁になり、ジューシー全体の味がまとまります。ここを丁寧に行うことで、家庭の味がぐっと本格的になります。
① 豚バラ塊は4cm厚に切り、たっぷりの湯に入れて生姜スライスを加える。
② 2〜3分ほど茹でたら一度ザルに上げ、水洗いして表面の灰汁を落とす。
③ 再度鍋に豚肉を入れ、肉がかぶる程度の水を加えて弱火でじっくり茹でる。
④ 途中、灰汁が出たら丁寧に取り除き、ネギの青い部分を加えると臭みが抑えられる。
⑤ 竹串がすっと通る柔らかさになったら火を止め、茹で汁は必ず残しておく。
豚肉の茹で汁は、そのまま炊飯時の出汁として使う大切な旨味成分です。必ず漉して灰汁を除き、炊飯器の“水の代わり”として使うことで、沖縄らしいコクが生まれます。
②具材を揃えて下ごしらえ|味がまとまる賽の目カットのコツ
◇トゥンジージューシーの具材は、すべてを小さめの賽の目(5mm前後)に揃えるのが基本です。
…大きさがバラつくと火の通りに差が出てしまい、味のしみ込み方にも影響します。丁寧に切りそろえることで、食感も見た目も整い、ジューシー全体のまとまりが良くなります。
① 干し椎茸はかつお出汁で戻し、戻し汁は必ず残す。
② 人参・かまぼこ・昆布・芋類は5mm角ほどの小さな賽の目に切る。
③ 豚肉は1cm角を目安に、他の具材より大きめに切ると存在感が出る。
④ フーチバーやねぎは細かく刻み、仕上げ用に分けておく。
⑤ 賽の目をそろえることで、炊き上がりの味が一体化する。
こうした細かい下準備は手間に見えますが、結果として味のまとまりが大きく変わります。特に干し椎茸・かまぼこの甘みは賽の目の揃い方で均一に広がります。
③炊飯器にセットして炊く|家庭で失敗しないポイント
◇炊飯器で作るトゥンジージューシーは失敗が少ない反面、水加減や具材の広げ方を少し工夫するだけで、仕上がりが格段に良くなります。
…べちゃつきや芯残りを防ぐために、炊飯前に確認しておきたいポイントをまとめました。
① 炊飯器の水加減は “豚の茹で汁+椎茸の戻し汁+出汁” を合わせて3合目盛りに正確に合わせる。
② 具材を均一に広げ、炊飯前に軽く全体を馴染ませる。
③ 具材が多い時は気持ち水を少なめにして、べちゃっと仕上がるのを防ぐ。
④ 炊き上がりはすぐに開けず、10〜20分の蒸らし時間を取る。
⑤ 蒸らしのタイミングで牛脂をひとかけ落とすと、沖縄らしいコクが出る。
蒸らし工程で味が安定し、牛脂が全体に行き渡ることで風味がぐっと深まります。仕上げにしゃもじで切るように混ぜれば、ツヤのあるトゥンジージューシーになります。
冬至のお供え物「ンムニー」とは?作り方と供え方のポイント

◇「ンムニー」は、ウンネーウイミ(芋折目)や旧正月など、お祝い事や節目で供えられる芋料理です。
…家族の健やかな成長や繁栄を願う意味が込められており、トゥンジーに合わせて用意する家庭もあります。
家庭によって扱い方はさまざまですが、芋を使った行事食として、冬の時期の御願ごとにも登場する一品です。
まずは、ンムニーが行事食として大切にされてきた理由を整理しておきましょう。背景を知ることで、供える意味や作り方がより分かりやすくなります。
・お祝い行事や節目で供える、繁栄を祈る伝統的な芋料理であること
・ターンム(田芋)などの芋は“子孫繁栄・健康祈願”の象徴とされてきたこと
これらの理由から、ンムニーは冬至のお供えとして重要な役割を持っています。ここからは、家庭で作りやすいレシピを順に見ていきます。
①ンムニーの材料と下準備|田芋・紅芋で作る基本レシピ
ンムニーは、ターンム(田芋)や紅芋を煮てつぶし、味を整えて作る沖縄伝統の芋料理です。材料はとてもシンプルで、芋そのものの甘みと素朴な味わいが魅力です。
まずは基本となる材料と下準備を確認していきましょう。
・ターンム(田芋)……200g
・紅芋……………………200g
・砂糖……………………適量
・塩………………………少々
・白玉粉…………………適量(家庭により仕上げ用)
① ターンムと紅芋は皮を厚めに剥き、火が通りやすい大きさの乱切りにする。
② 芋を鍋に入れ、ひたひたの水を加えて柔らかくなるまで煮る。
③ 芋が煮えたら煮汁を“約1カップ”取り分けておく。
④ 芋をザルに上げず、鍋の中で熱いうちに軽く潰しておくと次の工程がスムーズ。
芋の種類や煮え具合で甘みや水分量が変わるため、下準備を丁寧に行うことで味の調整がしやすくなります。
②きんとん状に仕上げる作り方|煮汁・白玉粉の使い方
◇ンムニーの特徴は、芋をなめらかな“きんとん状”に仕上げる点です。
…そのまま煮詰めても美味しいですが、煮汁や白玉粉を活用し、もっちりとした質感に整えることで、お供え物としても崩れにくく見映えの良い形になります。
落ち着いた甘さと芋の風味がしっかり感じられる仕上がりが理想です。
① 潰した芋に砂糖と塩を加え、好みの甘さに調整しながら弱火にかける。
② 取り分けておいた煮汁を少しずつ加え、木べらで練るように混ぜる。
③ なめらかになってきたら、水で溶いた白玉粉を加え、さらに練り続ける。
④ 全体につやが出て、きんとん状にまとまったら火を止める。
⑤ 粗熱が取れたら器に盛り付け、供えやすい形に整える。
白玉粉は必ず少量ずつ加えるのがポイントです。入れすぎると固くなるため、芋の状態を見ながら“もちっとした質感”に調整すると、仕上がりが美しく整います。
沖縄のトゥンジー(冬至)のお供えと拝み方|ヒヌカン・仏壇の作法

沖縄では冬至(トゥンジー)を単なる季節行事として楽しむだけではなく、神様や仏壇へ供えて健康祈願をする行事として扱われてきました。
また旧暦11月と重なる年には、芋の収穫祭「ウンネーウイミ(芋折目)」の時期とも近くなり、栄養価の高い芋をいただいて健康を祈願する日が続くこともあります。
ここでは、沖縄ならではの冬至の拝み方を、ヒヌカン・仏壇・拝み言葉の順に整理しました。旧暦文化の考え方もあわせて知っておくと、家庭での準備が分かりやすくなります。
①ヒヌカンへの供え方|線香・供物・お膳の組み方

◇ヒヌカン(火の神)は、家を守る神として沖縄の家庭で最も身近な存在です。
…冬至の日には、その年の無事を感謝し、家族の健康を祈願するためにトゥンジージューシーを供えます。家庭によっては、ウンネーウイミなどでも作るンムニーを一緒に添えることもあります。
① トゥンジージューシーとお茶などを小皿に整えて供える。
(ンムニーを添える場合は、別皿に少量を盛り付ける。)
② 線香は「ジュウゴフンウコー(十五本御香)」立てる。
・日本線香…15本、もしくは5本
・沖縄線香「ヒラウコー」…タヒラ半(2枚と半分)
③ 供え物を整えたら、静かに手を合わせて拝む。
④ 祈願が終わったら、供えた料理は下げて家族でいただく(ウサンデー)。
ヒヌカンへ供える料理は「温かいものを整えて出す」のが基本です。冬至の祈願は家内安全の意味が強く、旧暦11月に行われる理由も“無事に年を越すための願い”が込められているためです。
②仏壇への供え方|ジューシーを並べる意味

◇仏壇へ供える際は、ヒヌカンと同じくトゥンジージューシーを中心にお膳を準備します。
…お供えの組み方は家庭によって多少異なりますが、トゥンジージューシーと副菜の小鉢を添えて、盆に整えると良いでしょう。
① トゥンジージューシーと、ウサチ(酢の物)などの副菜を小鉢に分ける。家庭によっては、副菜としてンムニーを少量添えることもあります。
② 箸を添え、向かって左から主食・副菜の順に配置する。
③ 線香「ジュウ二フンウコー(十二本御香)」を立て、ご先祖様へ冬至を迎えたことを伝える。
・日本線香…12本、もしくは4本
・沖縄線香「ヒラウコー」…タヒラ(2枚)
④ 感謝と祈願を述べて手を合わせる。
ジューシーは健康を願う冬至の行事食として、芋を使ったンムニーは子孫繁栄を願う芋料理として、それぞれ意味を持つ一品です。
トゥンジーにあわせて両方を並べるかどうかは、各家庭の受け継いできた習慣によって異なります。
特に芋類は子孫繁栄の意味を持ち、冬至に合わせて供えることで新しい季節を迎える力を願います。
③拝み言葉(グイス)の基本|2025年向けの現代語の例
家庭であれば、沖縄の冬至で唱える拝み言葉(グイス)は、決まり文句ではなく、神仏に語りかけるように伝えるのが基本です。
形式に縛られる必要はなく、今日が冬至であること、供え物を整えたこと、そして日頃の感謝と祈願を素直に伝えれば十分です。
① 「今日はトゥンジーの日であることの報告」
② 「トゥンジージューシーなどの行事食をお供えしたこと」
③ 「一年の感謝」
④ 「これからも家族が健康で過ごせるように祈願」
「本日はトゥンジーを迎えました。家族そろって無事に過ごせたことへ感謝いたします。今日お供えしたジューシーや芋料理をご覧いただき、これからの一年も健康で穏やかに過ごせますようお見守りください。」
冬至は“厄が明けて陽が戻る日”とされるため、前向きな言葉を添えると拝みの気持ちがより伝わりやすくなります。
・【2025年版】沖縄の冬至「トゥンジー」の過ごし方!お供え物と拝み方を解説
全国の冬至との違い|なぜ沖縄はゆず湯をしないのか?

◇冬至は全国で同じ日付に行われますが、地域ごとの風習には大きな違いがあります。
特に「ゆず湯」に入る習慣は本州では一般的ですが、沖縄ではほとんど見られません。
その理由は気候の違いに加えて、旧暦行事を大切にしてきた沖縄独自の文化背景があるためです。また、沖縄ではシャワーのみの生活が中心で、そもそも家に大きな湯舟が設置されていない家庭も少なくありません。
冬至に湯を使って行事を行うという発想が、生活文化そのものと合致しないことが大きな理由です。
ここでは、全国の冬至との比較を通して、沖縄のトゥンジー文化がどのように育まれてきたのかを整理します。
・本州の冬至
…ゆず湯・かぼちゃ・小豆粥など“寒さ対策”を中心とした習慣が広い
・沖縄の冬至
…旧暦文化に根づいたトゥンジージューシーのお供え物が中心
ゆず湯をしない理由は、単に気温だけではありません。沖縄では“浄め”の役割を行事食や拝みが担ってきたため、湯や香りを使う本州の風習とは異なる形で冬至の節目を迎えてきました。それぞれの地域で異なる冬至の風習には、長く受け継がれてきた意味があります。
①本州の冬至|ゆず湯・かぼちゃ・小豆粥との違い
◇本州で冬至といえば、もっとも広く知られているのが「ゆず湯」です。
…ゆずの香りには邪気を祓う意味があるとされ、語呂合わせの「冬至(とうじ)=湯治(とうじ)」にも由来すると言われています。
また、かぼちゃや小豆粥を食べる風習も一般的で、体を温め、風邪を防ぐ“寒さ対策”の意味を強く持っています。
① ゆず湯に入って体を温め、無病息災を願う
② かぼちゃの煮付けや小豆粥を食べて栄養を補う
③ 「ん」の付く食べ物(なんきん・れんこん・にんじんなど)で運を呼び込む
本州の冬至文化は、寒さが厳しくなる季節に「体を内側から温める」ことを中心にした行事として広まりました。気候を背景にした風習であることが特徴です。
・【2025年版】冬至(12月22日)はいつ?意味・由来・食べ物・風習をわかりやすく解説
②沖縄の冬至文化|旧暦行事と芋料理の深い関係
◇沖縄ではゆず湯の習慣がほとんどありません。
…その理由は「暖かい気候だから」だけではなく、冬至が健康祈願行事として行われている側面が強いためです。
沖縄では、冬至はヒヌカンや仏壇に供え物をして健康祈願をする「家拝みの日」であり、その中心にあるのがトゥンジージューシーです。
① 芋(ターンム・里芋)が“子孫繁栄・豊穣”の象徴として重視される
② トゥンジージューシーをヒヌカン・仏壇へ供える
③ 「食を整える=祈りを整える」という旧暦文化の考え方が軸
④ 浄めの役割は“ゆず湯”ではなく、“食材(芋・豚肉・出汁)”で担われてきた
沖縄の冬至文化は、食材自体が厄祓いと繁栄の意味を持ち、供え物として形に残すことで祈願が整うと言われてきました。
そのため、湯を使ったゆず湯の習慣が導入されず、芋料理や出汁文化が中心となったと言われています。
まとめ|2025年のトゥンジーはジューシーで丁寧に迎える

◇沖縄の冬至「トゥンジー」は、陰が極まり陽が生まれる節目の日として受け継がれてきました。
ヒヌカンや仏壇にトゥンジージューシーを供え、一年の無事への感謝と、これからの健康を静かに祈るのが沖縄らしい迎え方です。
冬至に合わせて行事食を整えることで、季節の切り替わりを丁寧に意識する時間になります。
2025年の冬至を迎えるにあたっては、昔ながらの雑炊風の作り方や、炊飯器で仕上げる家庭向けの方法など、自分の暮らしに合ったスタイルで取り入れると負担なく続けられます。無理のない形で準備が整うと、拝みの時間にも自然と気持ちが向きやすくなります。
● 供え方は家庭ごとに違いがあってよく、形式よりも感謝の気持ちを伝えることが大切であること
● 冬至は家の節目を整える日であり、特別なことより“いつもの暮らしの延長”で迎えられる行事であること
年の瀬の忙しい時期こそ、トゥンジーをひとつの区切りとして迎えることで、家の時間がふっと整う感覚があります。2025年の冬至も、家族それぞれのスタイルで、無理なく穏やかに迎えてみてはいかがでしょうか。
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