2025年8月 沖縄の旧暦カレンダー|タナバタ・ウマチー・お盆に向けた供養の心得
2025年の8月は、旧暦6月がもう一度巡る「ユンヂチ(閏月)」の年にあたり、ウマチーやカシチーがふたたび行われる特別な月です。
さらに沖縄では、旧盆(9月)を前にした「タナバタ(旧暦七夕)」のお墓参りや、全国的なお盆に合わせた供養の準備など、ご先祖様と向き合う行事が次々と訪れます。
この記事では、2025年8月に沖縄で行われる主な供養日や旧暦行事をわかりやすくまとめました。
目次
旧盆前のご案内|8月の「タナバタ」はお墓参りに最適
沖縄の旧暦行事において、タナバタ(旧暦7月7日)は旧盆の始まりを告げる大切な節目です。2025年は8月29日(金)がその日にあたり、旧盆(9月4日〜6日)を前にお墓参りを行う「ご案内の日」として、多くの地域で受け継がれています。
全国的な「願いごとの七夕」とは異なり、沖縄のタナバタはご先祖様へ「今年も旧盆にお迎えします」とお伝えする拝みの行事。本家(ムートゥーヤー)の家族が中心となって墓前を清め、仏壇やご先祖に心を向けるひとときです。
沖縄のタナバタは“ご先祖様への招待状”
旧暦7月7日にあたるタナバタの日、沖縄では本家の家族が墓前に足を運び、「もうすぐ旧盆です。どうぞいらしてください」と手を合わせます。これはまるで、ご先祖様への“招待状”を届けるような行為。
この時期にお墓の掃除や整備を済ませることで、旧盆当日をご先祖様に気持ちよく迎えていただく準備にもなります。
2025年の旧盆(9月4日〜6日)は例年より遅いため、8月下旬のタナバタが供養のスタートラインとして、より重要になりそうです。
三大お墓参り行事のひとつとしてのタナバタ
沖縄では、以下の「三大お墓参り行事」が特に大切にされています。
●シーミー(清明祭/春)
●タナバタ(旧暦7月7日)
タナバタのお墓参りは、ジュウルクニチーやシーミーのように一族そろって行うのではなく、本家のみで静かに拝むのが一般的です。
そのため、行事としての華やかさは控えめでも、旧盆につながる“はじまりの拝み”として、地域の中ではしっかりと意味づけされています。
ヒーナシの日はお墓・仏壇事に最適とされる理由
沖縄のタナバタは「ヒーナシタナバタ(日無し七夕)」とも呼ばれます。
これは、神様の目が届かない“ヒーナシ(=日無し)”の日とされており、お墓じまいや仏壇整理など、神事ではない仏事を行うのに適した日と考えられてきました。
2025年は旧暦6月が二度訪れる「ユンヂチ」の年でもあり、旧暦全体が“ヒーナシに近い”扱いになる特別な暦。
その中でも、タナバタは特に「仏事の節目」として意識される日となります。
このタイミングでお墓の修繕や仏壇の整理などを行うと、神様に対して失礼にならず、ご先祖様には丁寧に向き合えるという安心感もあります。
旧盆に向けての気持ちの切り替えとして、ぜひ日取りの目安にしてみてください。
ユンヂチの年に再び巡る「六月ウマチー」と「六月カシチー」
旧暦の調整によって6月が2度めぐる「ユンヂチ(閏月)」の年。2025年はまさにその年にあたり、「六月ウマチー(御祭)」「六月カシチー(強飯)」がふたたび訪れる特別な夏となります。
一度済ませた拝みをもう一度行うことに戸惑う方もいるかもしれませんが、この「二度目」の祈りは家庭単位のものが一般的で、ユンヂチならではのやさしい意味合いが込められています。
・沖縄のお墓は「ユンヂチ」の年に建てる。その理由と文化背景とは
・沖縄のお墓事は「ユンヂチ」に合わせて安心に進めよう。今こそ考えたいお墓・仏壇・改葬のこと
“二度目の祈り”がもつ特別な意味とは
本来ウマチーやカシチーは、農作物の成長や食の恵みに感謝する農耕行事です。
ユンヂチの年には同じ月(旧暦6月)がもう一度巡るため、「もう一度手を合わせる機会」が与えられます。
とくに稲のウマチーは旧暦5月15日と6月15日の2回行われるのが一般的で、旧暦6月15日にあたる「ルクグァチウマチー(六月御祭)」が、2025年には2度巡ってきます。
一度目は7月9日、二度目は8月8日——ちょうど全国的なお盆の直前に重なる日程です。
この“重ねる祈り”を、生活の区切りや心の整え直しとしてやさしく捉えるご家庭も多いようです。
家庭でできるやさしいウマチーの供え方・工夫
現代、家庭でのウマチーは、ヒヌカン(火の神)や仏壇へのお供えと感謝の拝みが中心です。
二度目のウマチーでは、形式にこだわらず、小さな祈りをやさしく重ねる家庭スタイルも増えています。
●ミキ(神酒)の代わりに、市販の甘酒や発酵ドリンク
●花米を小皿に少しずつ分けて盛る
●子どもと一緒に麦団子を作るなど
こうした“気負わない拝み”でも、心を込めて供えることが何より大切です。
「前回は忙しくてできなかった」「今回は感謝をもう一度伝えたい」——そんな気持ちをそっと表す、やさしい家庭行事としてのウマチーが、今の時代に合った形かもしれません。
カシチーで願う「五穀豊穣」と「食の安心」
カシチーとは、漢字の通り「強飯(おこわ)」をお供えする行事です。
麦や稲など、主食となる作物への感謝と豊作を祈願する意味があり、沖縄では旧暦6月24〜25日に合わせて行われます。
ユンヂチの2025年は8月17日(日)・18日(月)が二度目の「六月カシチー」。
ちょうど暑さもピークを迎える時期であるため、
●食卓のめぐり・食運の祈願
●新米の収穫への願掛け
といった、今の生活に寄り添った祈りが込められる日としても大切にされています。
2025年は日曜に重なる絶好のタイミング
2025年のカシチーは、ちょうど8月17日(日)と18日(月)。本州に倣ったお盆を行う家庭であっても、片づけを終えた週末や、ひと息ついた平日にゆっくり拝むにはちょうど良いタイミングです。
「今年だけのもう一度」「祈りをやさしく仕上げる週末」として、家族の予定や気持ちに合わせて行えるのも、ユンヂチならではの利点。
形式にとらわれず、生活と心に寄り添う形で、拝みを結んでみてはいかがでしょうか。
8月13日〜15日は全国的なお盆|沖縄では供養準備の時期に
2025年の全国的なお盆は、8月13日(水)から15日(金)までの3日間です。地域によっては16日(土)までの4日間日程とする場合もあります。
沖縄では旧暦7月13日〜15日(今年は9月4日〜6日)が旧盆となるため、8月はその「前段階」として供養の準備を進める時期とも言えるでしょう。
本州からの文化も取り入れられることで、全国的なお盆に合わせ、お墓掃除や仏壇整理を行う家庭も増えています。
・沖縄の旧盆と全国的なお盆!地域で違う、3つの日程とは
お墓掃除や仏壇整理をすすめる良い機会
全国的なお盆が訪れるこの時期は、沖縄でも親戚や家族が一時帰省することがあるため、お墓掃除や仏壇まわりの整理を行うタイミングとして最適です。
特に2025年は、旧盆が9月にずれ込む分、8月中の整備が余裕を持って進めやすくなっています。
● 仏壇の拭き掃除や仏具の点検
● 線香やロウソク、白ウブクなど供養用品の確認
など、旧盆本番に向けての“整える時間”として意識しておくと、心にもゆとりが生まれます。
旧盆(9月)の帰省に向けて、航空チケットの混雑回避も
旧盆の本番は9月4日(木)〜6日(土)ですが、帰省や移動の混雑を避けるためには、8月中からの準備がカギとなります。
特にお盆シーズン(8月10日〜18日)は航空券や宿泊施設が混み合い、価格も高騰しやすいため、旧盆に合わせたスケジュールで動く場合でも、このタイミングに合わせて予約・準備を済ませておくと安心です。
また、2025年の沖縄の旧盆は、夏休み明けすぐのタイミングで混雑のピークを外れるため、家族単位での帰省や供養もしやすく、落ち着いた環境でご先祖様と向き合えるというメリットもあります。
最大9連休になる2025年、お墓参りの計画を早めに
2025年は、8月11日(月)の「山の日」祝日を含む連休構成により、最大9連休を取得できる可能性があります。
● 8月9日(土)〜8月11日(月):土日+祝日
● 8月12日(火):有給取得
● 8月13日(水)〜8月15日(金):お盆
● 8月16日(土)・17日(日):土日
この1日(12日)の有給取得を組み合わせることで、9日間の大型連休が実現!
この連休を活かしてお墓参りを済ませるご家庭も多く、特に遠方からの帰省組にとっては旧盆の準備を前倒しするチャンスです。
長期休暇を取って長く帰省したい場合には、沖縄の旧盆直前の慌ただしさを避けるためにも、早めの予定立てがおすすめです。
毎月旧暦1日と15日はヒヌカンへの感謝を伝える日
沖縄の家庭では、台所に祀られる「ヒヌカン(火の神)」へ、旧暦1日と15日に拝みを行う風習が今も根づいています。
ヒヌカンは、家の中の火や食を司る“家庭の守り神”。旧盆やウマチー、カシチーの行事とあわせて、日々の暮らしに寄り添う存在として大切にされています。
●旧暦閏6月15日…8月8日(金)
●旧暦7月1日…8月23日(土)
※旧暦7月15日…9月6日(土)
来月に訪れる旧暦7月15日の「ジュウグニチの拝み(十五日の拝み)」は、沖縄の旧盆とも重なるため、この時期のヒヌカン拝みは特に丁寧に行いたい日と言えるでしょう。
ヒヌカンへの供え方と拝みの作法
ヒヌカンへは、白ウブク(炊きたての白ごはん)3膳と、湯のみのお茶・お水を用意して拝みます。
この「3膳」は、「神様・仏様・家族の暮らし」を表すともされており、素朴ながら心のこもった供え物です。
拝みの際は、以下のような流れが一般的です:
● 白ウブクとお茶・水を供える
● 日々の感謝や、家内安全・食の恵みに対する願いを込めて拝む
● 拝みが終わったら供え物を下げる
(白ウブクは処分ではなく家族でいただくのが基本)
2025年はユンヂチの年でもあり、「もう一度向き合う」「重ねて願う」という視点での拝みが、例年以上に意義あるものとなるでしょう。
“家計安泰”を願うご家庭行事として根づく理由
かつて沖縄では、台所を守る家族(主に女性)が代々ヒヌカンを祀り、家庭の困りごとや願いごとを打ち明ける相手として、静かに拝みを続けてきました。
農作や漁業が中心だった時代には「食のめぐり」や「火の安全」が大きなテーマでしたが、現代ではそれが転じて、
● 家計の安定
● 食卓が賑わうこと
といった、暮らし全体の支えとなる願いが込められるようになっています。
特にコロナ禍以降、家計安泰や生活祈願のためにヒヌカンを再び祀る家庭も増えていると言われており、月2回の拝みは日常のリズムを整える“静かな家庭行事”として見直されています。
まとめ|2025年8月は、旧盆につながる大切な準備の月
2025年の8月は、ユンヂチ(閏月)の影響で旧暦6月が2度めぐり、ウマチーやカシチーといった伝統行事がもう一度訪れる特別な夏となっています。
また、旧盆が9月にずれることで、8月のタナバタや全国的なお盆期間が「準備期間」としての役割を果たす月になっています。
特にタナバタのお墓参りは、旧盆に向けた“ご先祖様へのご案内”として大切な節目。
日無し(ヒーナシ)とされる日柄に加え、ユンヂチの年という背景も相まって、供養や仏壇事を落ち着いて進める好機です。
さらに、全国的なお盆を活用したお墓掃除や仏壇整理、ヒヌカンへの感謝の拝みなど、家族で日々の暮らしと向き合う供養行事が自然と重なる時期でもあります。
9月の旧盆本番を、心穏やかに迎えるために──。
2025年8月は、「やさしい準備」と「暮らしの祈り」が重なる大切な1ヵ月として、家族で静かに過ごしてみてはいかがでしょうか。
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