2025年10月 沖縄旧暦カレンダー|カジマヤーと大綱引き、秋の伝統行事まとめ

沖縄では旧暦に基づいた行事が今も大切に受け継がれています。
2025年10月は旧暦の8月10日から9月11日にあたり、十五夜の拝みや那覇大綱引き、健康長寿を願うチクザキ(菊酒)、そして97歳を盛大に祝うカジマヤーなど、秋ならではの伝統行事が目白押しです。
本記事では2025年10月の旧暦行事カレンダーをもとに、それぞれの意味や祝い方、家庭での供え物や拝みの基本をわかりやすく紹介します。
目次
2025年10月の沖縄旧暦カレンダー

沖縄では今も旧暦に合わせて多くの行事が行われています。季節の移り変わりや祖先供養、豊穣祈願といった生活に根ざした行事は、現代の暮らしの中でも大切に受け継がれています。まずは2025年10月の旧暦を確認しておきましょう。
2025年10月は旧暦8月10日~9月11日
◇2025年10月は、旧暦でいうと 8月10日から9月11日 にあたります。
この時期は秋の収穫や月見にまつわる行事が多く、地域によっては祖先供養や五穀豊穣を祈る拝みが盛んに行われます。旧暦に忠実な家庭や地域では、カレンダーを確認して拝みの日を間違えないよう注意が必要です。
この時期に行われる代表的な行事一覧
10月の沖縄は、旧暦に基づいた行事が数多く行われます。代表的なものは次のとおりです。
①ヨーカビー(八日日)
…9月29日(月)~10月2日(木)
(旧暦8月8日~旧暦8月11日)
②シバサシ(柴差し)
…9月30日(火)~10月2日(木)
(旧暦8月9日~旧暦8月11日
③ハチグァチカシチー(八月強飯)
…9月30日(火)~10月2日(木)
(旧暦8月9日~旧暦8月11日)
④ジューグヤ(十五夜)
…2025年10月6日(月)(旧暦8月15日)
⑤ジューグニチの拝み
…10月6日(月)(旧暦8月15日)
⑥那覇祭り
…10月11日(土)~10月13日(月)
(例年、スポーツの日を含む3連休に開催)
※那覇大綱引きは10月12日(日)
⑦チィタチの拝み
…10月21日(火)(旧暦9月1日)
⑧カジマヤー(風車)
…10月27日(月)(旧暦9月7日)
⑨チクザキ(菊酒)
…10月29日(水)(旧暦9月9日)
【沖縄の旧暦9月の伝統的な風習】
● 正五九月のカミウガミ(神拝み)
● 正五九月のティラヌムメー(寺参り)
これらの行事は祖先への感謝や無病息災、子孫繁栄を願う意味が込められており、沖縄の暮らしと深く結びついています。
・沖縄のヒヌカンとトートーメー。毎月の拝みの意味とは
・ヒヌカンはどんな神様?迎え入れる前の知識
沖縄の旧暦行事|ヨーカビー・シバサシ・ハチグァチカシチー

旧暦8月には、祖先供養や家の安全を願う行事が立て続けに行われます。いずれも地域や家庭の信仰と深く結びつき、現代の暮らしにも息づいています。
ヨーカビー(八日目)の悪霊祓い
◇旧暦8月8日は「ヨーカビー(八日目)」です。
災いや悪霊を祓う行事が行われ、家の周囲を清めたり、火を使った祈願をしたりして、無病息災を願うのが習わしです。地域によっては特別な供え物を用意して神仏に感謝を伝えることもあります。
現代では簡略化されることもありますが、「夏の厄を祓い、新しい季節を迎える準備」として意識される日です。
シバサシ(柴差し)で家を守る風習
◇旧暦8月10日前後には「シバサシ」と呼ばれる風習があります。
クロツグやソテツなどの枝を束ね、家の門や屋根、台所に差して邪気を祓い、火の神や家の神に感謝を伝えます。これは「家を守る」ための祈願であり、特に火事や病気を避ける願いが込められています。
現在でも旧家や一部の地域では受け継がれており、沖縄の生活文化を象徴する行事のひとつです。
・【沖縄の御願】ヨーカビーやシバサシ。沖縄の悪霊払い
ハチグァチカシチー(八月強飯)の供え物
◇旧暦8月15日は「ハチグァチカシチー(八月強飯)」です。
赤飯や餅を供える日です。五穀豊穣に感謝し、祖先や神々へ収穫を報告する意味があります。家庭では赤飯やウチャヌク(白餅)を仏壇やヒヌカンに供え、家族の健康と繁栄を祈ります。
十五夜(ジューグヤ)と近い時期にあたり、この時期はお月見と豊穣祈願を兼ねた大切な節目となります。
・【沖縄の御願】八月カシチーで無病息災。お供え物と拝み方
ジューグヤ(十五夜)と大綱引き

旧暦8月15日の十五夜は「ジューグヤ」と呼ばれ、月に感謝し、豊作と家族の健康を祈る大切な行事です。この日は地域によって大綱引きも行われ、五穀豊穣や無病息災を願う熱気あふれる行事として親しまれています。
ジューグヤ(十五夜)のお供えと拝み方
沖縄のジューグヤ(十五夜)では、本州の月見団子ではなく「フチャギ」と呼ばれる小豆をまぶした塩もちを供えるのが特徴です。フチャギは、もちが月、小豆が星や子どもを象徴し、子孫繁栄や魔除けの意味が込められています。
[日頃のお供え]
・酒
・ミジトゥ(水)
・マース(塩)
・供え葉(チャーギやクロトンなど)
[十五夜のお供え]
・フチャギを皿に盛る
神様への供物は箸を添えず、お線香は「ジュウゴフンウコー(十五本御香)」。日本線香なら15本・もしくは簡易版で5本、ヒラウコー(平御香=沖縄線香)ならタヒラ半(2枚半)を使います。
[日頃のお供え]
・ウチャトゥ(お茶)…2杯
・酒
・供え花…2立
[十五夜のお供え]
・フチャギの皿をお盆に乗せて供える
こちらはご先祖様へのお供えとなるため、必ず箸を添えるのが作法です。線香は「ジュウニフンウコー(十二本御香)」、日本線香なら12本・もしくは簡易版で4本。ヒラウコー(平御香=沖縄線香)ならタヒラ(2枚)が一般的です。
月を拝むだけでなく月が満ちる満月の収穫時期に、神々や先祖への感謝を通して「家族の健康」「子孫繁栄」「豊作」を祈る大切な行事といえるでしょう。
・沖縄の十五夜2025年は10月6日|本州との違いとフチャギの意味
糸満・那覇を中心に盛り上がる大綱引き
◇ジューグヤ(十五夜)の時期には、沖縄各地で大綱引きが行われます。
とりわけ有名なのが那覇大綱引きと糸満大綱引きです。
那覇大綱引きは観光客も楽しめるよう、毎年スポーツの日を挟んだ3連休で開催されます。糸満大綱引きは地域行事として、毎年旧暦8月15日の開催です。
●那覇祭り…10月11日(土)~10月13日(月)
[開催日]2025年10月12日(日)
[旗頭行列]11:30~14:00(国際通り)
[那覇大綱挽]綱引開始 16:00〜
[開催場所]国道58号線 久茂地交差点
●糸満大綱引き…10月6日(月)旧暦8月15日
[スケジュール]
・14:00~ 道ズネー
・17:15~ 糸満大綱引
[開催場所]糸満ロータリー~白銀堂
長さ数十メートルにも及ぶ大綱を東西に分かれて引き合い、勝敗によってその年の豊作や繁栄を占います。
地域の人々が一丸となり、観光客も参加できる大規模な行事で、沖縄の秋を象徴する風景となっています。2025年も例年通り10月に開催が予定されており、多くの人で賑わうでしょう。
・沖縄の大綱引き2025年版|日程・見どころ・歴史と参加方法を徹底解説
正五九月(忌み月)とカミウガミ

沖縄では、旧暦の正月・5月・9月を「正五九月(しょうごくがつ)」と呼び、忌み月として慎む習慣があります。この期間は神仏への拝みや家の行事に特別な注意が払われ、日常の過ごし方にも配慮が求められます。
正五九月に慎むこと
正五九月は、季節の変わり目にあたり体調を崩しやすい時期であり、古くから「災いが起こりやすい月」と考えられてきました。
そのため、この時期には新しいことを始めたり、祝い事や結婚式など大きな慶事を避けるのが習わしです。また、お墓の建立や改葬といった供養事も控える傾向があります。
つまり、派手な祝いごとや新しい始まりを避けつつ、慎ましく神仏に感謝を伝える月とされています。
御嶽や寺院を巡る「カミウガミ」「ティラヌムメー」
正五九月の期間には「カミウガミ(神拝み)」と呼ばれる習慣があり、家族や地域の安全を願って御嶽や寺院を巡ります。御嶽は沖縄の神が宿るとされる聖地で、古くから集落の守り神に祈る場として大切にされてきました。
これは祖先や神々への感謝を改めて伝える行事であり、無病息災や五穀豊穣を願う意味が込められています。
正五九月は祝い事を控える忌み月である一方、こうした神仏への祈りは積極的に行われます。日々の生活を振り返り、心身を整える大切な期間ともいえるでしょう。
2025年のカジマヤー(旧暦9月7日)

沖縄では干支が一巡する節目に「トゥシビー(生年祝い)」を行い、長寿を祝います。
その中でも特別なのが97歳で祝う「カジマヤー」です。年齢にちなみ毎年旧暦9月7日に祝われるカジマヤー、2025年年度は10月27日(月)にあたり、沖縄各地でこの特別な祝いが行われます。
97歳を祝うカジマヤーの意味
◇カジマヤーは「風車」を意味し、人生を一巡して再び子どもに還るという思想を象徴しています。
風車を持たせたり飾ったりするのは、無邪気に健康で過ごせるよう願うためです。カジマヤーは家族や地域全体で盛大に祝われ、長寿を喜び合う行事として沖縄独自の文化を築いています。
2025年は10月27日(月)、該当する生年
◇2025年のカジマヤーは 10月27日(月) にあたります。
この年にカジマヤーを迎えるのは、1929年(昭和4年)巳年生まれ の方々です。沖縄の年祝いは数え年で行うため、誕生日に関係なく旧暦で97歳にあたる人が対象となります。
家庭でのお供えと地域行事(パレードなど)
◇家庭ではお米やカジマヤー(風車)、お米などを供えます。
家庭では仏壇やヒヌカンに赤ウブク(赤飯)やウチャヌク(白餅の3段重ね)・酒などを供え、長寿を迎えた感謝を伝えます。
お米は特にトゥクヌマ(床の間)、現代ではリビングに飾られることが多いでしょう。
また、集落によっては祝い主を車に乗せて集落を練り歩くパレード(道ジュネー)が行われ、音楽や踊りとともに盛大に祝います。近年はホテルやホールで親族を招いた祝宴を開く家庭も増えており、伝統と現代的な祝い方が共存しています。
・【2025年度版】沖縄のカジマヤー|97歳を祝う長寿行事と拝みの手順
チクザキ(菊酒)と重陽の節句(旧暦9月9日)

旧暦9月9日は「重陽の節句」にあたり、沖縄では「チクザキ(菊酒)」をいただく風習があります。菊は長寿や無病息災を象徴する花とされ、この日を健康を祈る大切な節目として祝ってきました。
菊の葉を浮かべた泡盛で健康祈願
◇チクザキでは、泡盛に菊の葉を浮かべていただきます。
菊は邪気を祓う力を持つとされ、菊の香りとともにお酒をいただくことで「不老長寿」「無病息災」を願うのが習わしです。家庭では親族が集まり、健康で長生きできるよう祈りながら杯を交わす場となります。
子育て祈願やウビナディの風習
◇この日は子育てや子どもの健やかな成長を祈る風習とも結びついています。
特に「ウビナディ(産湯行水)」と呼ばれる習慣では、菊の花びらを浮かべた水で子どもを清め、無病息災を祈ります。
こうした風習は、自然の力を借りて家族の健康を守ろうとする沖縄独自の知恵であり、現代でも一部の地域や家庭で受け継がれています。
・チクザキ(菊酒)の御願☆家族の健康を祈願する拝み方
2025年10月の二十四節気と全国行事

旧暦行事に加えて、現代の生活では二十四節気や全国の年中行事も暮らしの節目となります。2025年10月は秋が深まり、自然や生活のリズムが大きく変化する時期です。
寒露・霜降の節気と暮らし
◇10月上旬には「寒露(かんろ)」を迎え、草木に冷たい露が宿る季節となります。
…下旬には「霜降(そうこう)」が訪れ、朝晩の冷え込みが一段と強まり、冬の訪れを感じ始めます。
沖縄でも朝夕は過ごしやすくなり、体調管理や衣替えを意識する時期です。農作物の収穫期とも重なり、旬の味覚を楽しむ季節でもあります。
全国の10月行事(秋土用・スポーツの日など)
全国的には、10月は秋土用の期間にあたり、季節の変わり目として健康管理に注意が必要とされます。
また、国民の祝日として「スポーツの日」(10月13日・月曜日)があり、体を動かして健康を意識する日として親しまれています。地域によっては秋祭りや収穫祭が行われ、実りの秋を祝う行事が各地で見られるのもこの時期の特徴です。
まとめ|2025年10月は旧暦行事が目白押し

2025年10月は、旧暦の8月10日から9月11日にあたり、沖縄ならではの旧暦行事が集中する月です。ヨーカビーやシバサシに始まり、十五夜(ジューグヤ)の拝みと大綱引き、正五九月のカミウガミ、重陽の節句にあたるチクザキ、そして97歳を祝うカジマヤーと、多彩な行事が受け継がれています。
それぞれの行事には、祖先や神々への感謝、家族の健康、五穀豊穣を願う深い意味が込められています。現代ではホテルや地域行事として形を変えつつも、その心は変わりません。
旧暦カレンダーを手元に置き、季節ごとの拝みやお供えを意識することで、沖縄の文化をより身近に感じられるでしょう。2025年10月も伝統行事を通して、自然やご先祖と向き合い、心豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
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