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沖縄のお盆ナカビ、分家と本家の1日|子どもたちの目線で見るお中元まわり

沖縄のお盆ナカビ、分家と本家の1日|子どもたちの目線で見るお中元まわり
旧盆の2日目「ナカビ」は、沖縄では分家が本家へお中元を持って訪ねる日。
たくさんの親戚が行き来し、仏壇には御膳が供えられ、そうめんやぜんざいでもてなす――。
 
この記事では、母方の本家を訪ねる分家のアキオ君と、親戚を迎える本家のレオ君、それぞれの一日を子ども目線で描きながら、ナカビの風習やお中元マナーをわかりやすくご紹介します。
はじめての沖縄のお盆でも、きっと安心して過ごせるヒントが見つかりますよ。
 



 
 

アキオ君のナカビ|分家から本家へ、お中元を届けに行く一日


アキオ君のナカビ|分家から本家へ、お中元を届けに行く一日
ナカビは、分家にとって親戚を訪ねる大切な日。母方の実家を訪れるアキオ君は、朝からお母さんと一緒に準備を始めます。初めてのお中元まわりに、少しだけ緊張しながらもワクワクしているようです。
 

 
 

朝|お母さんとスーパーで手土産選び

旧盆2日目の朝、アキオ君はお母さんと一緒に近所のスーパーへ。今日のナカビは、本家のレオ君の家にお中元を持って訪ねる日です。
 
このゼリーなら個包装だし、冷やしてもおいしいよね
「日持ちするから仏壇に供えても安心だね」
 
棚の前で話しながら、お母さんは消え物(食べてなくなるもの)や日用品を中心に選びます。
何軒も回る家庭では、1軒あたり1,000〜2,000円くらいの実用的な品がちょうどいい。
アキオ君も「このちんすこう、レオ君好きだったよな〜」と、嬉しそうに選びます。
 

【ポイント!】
●挨拶回りでは手土産の「お中元」を持参します
●予算は1件あたり約1,000円~2,000円くらいでよし!
●長持ちするシーチキンやジュース、個包装のお菓子などが好評です

 

 
 

午前|渋滞に気をつけて本家へ出発!

買い物を終えたアキオ君たちは、本家へ向かう車の中へ。
普段より少し早めに出たのは、ナカビの日は親戚まわりの車で道路が混み合うから。
 
「この時期はみんな同じ日に動くから、渋滞になるのよ」
「だから朝のうちに動いておこうね」
 
旧盆の中日であるナカビは、沖縄全体で親族の行き来が活発になる日。
アキオ君は車の中でお中元の紙袋を膝にのせながら、緊張した顔で窓の外を見ていました。
「久しぶりにレオ君に会えるかな…」
 

【ポイント!】
●多くの分家が挨拶回りをするため渋滞にも注意!
●渋滞情報サイトやアプリを使用すると便利です。
・日本道路交通情報センター:JARTIC
沖縄県周辺の渋滞情報 – NAVITIME

 
 

昼|本家でそうめんとおやつをいただく

レオ君の家に到着すると、すでに何組かの親戚が来ていて、にぎやかな雰囲気。早速レオ君と庭に出て大はしゃぎです!
 
仏壇のある本家では、お中元を受け取るだけでなく、訪問客に軽食やおやつをふるまうのが昔からの習わしです。
 
「アキオ君、ちょうどお昼だし、そうめん食べていきなさいね」
 
テーブルには温かいにゅう麺が並び、金時豆入りのぜんざいやちんすこうも添えられていました。本家のおばあちゃんが「冷たいお茶もあるよ〜」と笑顔で出してくれ、アキオ君もほっと一息。
 
「やっぱりナカビって、おいしい日だな」と、思わず笑顔になります。
 
 

午後|仏壇に手を合わせて、お中元をお供え

食事がひと段落すると、アキオ君はお母さんと一緒に仏壇の前へ。
持参したお中元を直接手渡すのではなく、まず仏壇に供えてから手を合わせるのが沖縄流です。
 
ご先祖さまへ、お中元をお供えしますね
お母さんはそう言いながら、アキオ君にも小声で教えてくれます。
 

● お中元はまず仏前に
● ヒラウコー(沖縄線香)を2枚立てて
● 手を合わせて「ウートゥートゥー」
● お供え物の上にウチカビ(あの世のお金)を添える家もある

 
アキオ君も見よう見まねで「また来たよ」と手を合わせ、少し照れながらもしっかりと拝んでいました。
 

【ポイント!】
●沖縄で旧盆に持参するお中元は、仏壇へ供物として供えます
●ウチカビを置く場合、翌日のウークイで置いたウチカビが焚かれます

 
 

夕方|また来るねと手を振って、今度は父方へ

短い滞在時間でしたが、親戚や従兄弟たちと過ごした時間は、アキオ君にとって大切な思い出。
「また来年ね」と言いながら、本家をあとにします。
 
というのも、アキオ君の父方の実家では、翌日のウークイでご先祖様を見送る準備があるため、長居は控えるのが分家としての配慮。
明日はお父さんのほうの実家でウークイね」と言われ、アキオ君も少し緊張しながらも頷きました。
 
車の中で手を振りながら、アキオ君は心の中で「また来年も、元気にナカビに来られますように」とつぶやいていました。
 

【ポイント!】
●沖縄ではナカビに複数の家を廻る家も少なくありません

 
 

レオ君のナカビ|たくさんの親戚を迎える本家の一日


レオ君のナカビ|たくさんの親戚を迎える本家の一日
ナカビは、ご先祖様をお迎えして2日目の朝。ムチスク(本家)にとっては、分家や親戚を迎える大切な日でもあります。レオ君の家でも、朝から家族みんなで準備に追われていました。
 

 
 

朝|お仏壇とヒヌカンの準備で大忙し

レオ君の家では、朝6時過ぎからおばあちゃんとお母さんが台所で忙しそうに動いています。
仏壇に御膳を供えるだけでなく、台所の神様・ヒヌカンにもご挨拶するのが旧盆の習わしです。
 
「今日はナカビだから、ご先祖様にちゃんと朝ごはんを供えないとね」
「ヒヌカンにも忘れずにお水とご飯を替えておこうね」
 
朝の御膳(ヒティミティムン)は、ご飯・味噌汁・酢の物が基本。
アーサの入ったお味噌汁や、さっぱりとしたウサチが食卓に並びます。
レオ君も、お箸をそっと添えずにヒヌカンへお水を運びました。
 

【ポイント!】
● 朝はまずヒヌカン(火の神様)へお水とご飯を供える
● ご先祖様への御膳には、ヒラウコー2枚とともにご飯・汁物・酢の物が基本
● お箸はヒヌカンには添えません(神様だから)

 

 
 

昼前|親戚が続々とやってくる!

午前10時を過ぎたころ、玄関のチャイムが鳴りはじめ、レオ君の家はにわかに慌ただしくなります。
 
ナカビは、分家の人たちが本家へあいさつ回りに来る日。お中元を手にした親戚が次々に訪れます。
 
「レオ君、ジュース冷やしてるから出してくれる?」
「ちんすこうもあるから、お菓子皿に出しといてね」
 
お母さんは訪問客用に冷たい飲み物やゼリー、お菓子をせっせと準備中。
レオ君も、お盆にのったゼリーを親戚に「どうぞ」と運びながら、本家の役割を少しずつ実感していました。
 
お手伝いをしていると、アキオ君が到着!!
レオ君が遊びたくてたまらない顔をしていると、お母さんから「行っておいで!」とひと言…。早速、アキオ君と庭で遊びます。
 

【ポイント!】
● ナカビは親戚まわりが集中するため、午前中から来客対応が続きます
● 冷たいお茶・ジュース・個包装のお菓子は定番の“もてなしアイテム”
● 訪問する側も、迎える側も「心配り」が何より大切です

 
 

午後|「ありがとう」と拝みながら受け取る贈り物

「〇〇おばさんから、お中元だって」
お母さんが丁寧に受け取った箱を、一度お仏壇の前に運んで供えます。
レオ君はその様子をじっと見ながら、小声で尋ねます。
 
「どうしてすぐ渡さないの?」
「いったん仏壇に供えてから拝むのがマナーなんだよ」
 
沖縄のナカビでは、お中元はまず仏壇へ。
お母さんはヒラウコー(平御香)を立てながら、「〇〇家からです」と手を合わせました。
レオ君も見よう見まねで、合掌のまねをして拝みます。
 

【ポイント!】
● お中元は手渡しではなく、いったん仏前へ供えるのが沖縄流
● お線香をあげ、「誰からの贈り物か」をご先祖様に報告します
● ウチカビを添える家庭もあり、最終日のウークイで焚き上げます

 

[沖縄の仏壇への拝み方について詳しく]
沖縄の仏壇への拝み方。御願で唱える「グイス」の基本

 
 

夕方|ぜんざいや団子でほっと一息

ひと通りの訪問客がおさまった夕方、レオ君の家では大鍋に煮ていたぜんざいが登場。
金時豆と黒糖のやさしい香りが、家の中に広がります。
 
「さぁ、みんなでおやつの時間にしようね」
おばあちゃんが冷やした団子と一緒にぜんざいをふるまうと、子どもたちは笑顔で集まりました。
 
アキオ君と半分こしたちんすこうのこと、お父さんたちが昔遊んだ遊びの話――。
そんな会話の中に、ナカビのあたたかさがにじみます。
来年もまた、みんなで集まれるといいな」と、レオ君は思いました。
 

【ポイント!】
● 沖縄のナカビでは、ぜんざいや団子などのおやつで来客をもてなす習慣も
● 手作りが定番ですが、最近は缶入りぜんざい冷菓を使う家庭も増えています
● おやつを囲む時間こそ、親戚どうしがゆんたくできる大切なひとときです

 

 
 

まとめ|ナカビは「気持ちを届け合う」やさしい一日


まとめ|ナカビは「気持ちを届け合う」やさしい一日
沖縄の旧盆2日目、ナカビは「分家が本家を訪ねる日」であると同時に、「ご先祖様と過ごす日」でもあります。
それぞれの家庭で役割は違っても、心の中にあるのは、ご先祖様への感謝と、親戚同士のつながりを大切にしたいという思いです。
 
分家のアキオ君は、少し緊張しながらもお中元を選び、本家であたたかく迎えられる経験を通じて「また来たいな」と感じました。
一方、レオ君はお仏壇の準備や拝み方を見ながら、「迎える側」の心づかいやもてなしの意味を学びました。
 
形式や作法よりも、「お中元を供える気持ち」「そうめんを分け合う笑顔」「手を合わせる時間」――
そんなひとつひとつのやさしさが、ナカビを特別な一日にしてくれるのかもしれません。
 
2025年のナカビは9月5日(金)
大切な誰かのことを思いながら、“気持ちを届ける一日”を過ごしてみませんか?
 
 



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