沖縄のお盆とエイサー|ウークイの流れと道ジュネー・まつりの魅力
沖縄のお盆は、旧暦7月13日から15日までの三日間に行われる大切な行事です。最終日の「ウークイ」では、ご先祖様をお見送りする儀式とともに、各地で迫力あるエイサーが披露されます。
沖縄市をはじめ那覇や各地域では、青年会が太鼓や三線の音に合わせて道ジュネーを練り歩き、祖先供養の心を伝えるこの伝統芸能を守り続けています。
この記事では、2025年のお盆日程やウークイの流れ、エイサーの歴史と地域ごとの特徴、さらに2024〜2025年に開催される代表的なエイサーイベント情報までを詳しくご紹介。初めて沖縄のお盆に参加する方も、地元で長年親しんでいる方も、お盆とエイサーの魅力を改めて感じられる内容です。
目次
沖縄のお盆とエイサーの関係【2025年版】
沖縄のお盆は、旧暦の7月13日から15日の三日間に行われる大切な祖先供養の行事です。本土とは異なり旧暦で行われるため、毎年日程が変わります。
2025年のお盆は9月4日(木)から6日(土)までで、この期間中は県内各地で仏壇にお供えをし、親族が集まり、ご先祖様を迎えて見送ります。
最終日の「ウークイ」には、地域ごとのエイサーが道ジュネーとして披露され、沖縄市や那覇をはじめとする各地が活気に包まれます。
旧盆(ウンケー・ナカビ・ウークイ)の流れ【お盆の三日間】
沖縄の旧盆は、「ウンケー(お迎え)」「ナカビ(中の日)」「ウークイ(お送り)」の三日間で構成されます。
初日のウンケーでは、仏壇の掃除や果物・ジューシー(炊き込みご飯)をお供えして、ご先祖様を迎え入れます。二日目のナカビは、親族や知人が仏壇のある家を訪れ、線香を手向けながら交流を深める日です。
そして三日目のお盆最終日であるウークイは、ご馳走をお供えし、夜遅くにご先祖様をお見送りする最も重要な一日。地域によっては、この夜に向けてエイサー隊の準備も進められます。
・2025年の沖縄旧盆はいつ? ウンケー・ナカビ・ウークイの流れと基本マナー
お盆最終日ウークイの道ジュネー【沖縄市・那覇の事例】
ウークイの夜、沖縄市や那覇の各地では、青年会によるエイサーの道ジュネーが行われます。三線や太鼓の音が響く中、色鮮やかな衣装に身を包んだ演者たちが集落や市街地を練り歩き、各家の無病息災や家内安全を祈願します。
沖縄市では全島エイサーまつりの開催地として有名で、道ジュネーも迫力満点。一方、那覇では国際通り周辺や住宅地での演舞が多く、地域ごとの距離感や観客との交流が魅力です。
どちらも、お盆の最終日を締めくくるにふさわしい伝統芸能として、多くの人々の心に残ります。
お盆に行うエイサーの歴史と由来|沖縄の伝統芸能
沖縄のお盆では、祖先を敬い感謝を伝えるさまざまな儀式が行われます。その中でも、最終日のウークイに披露されるエイサーは、沖縄市や那覇をはじめ県内各地で受け継がれてきた伝統芸能です。
太鼓や三線の音色に合わせ、青年会が集落や市街を練り歩く姿は、地元の人々だけでなく観光客にも深い感動を与えます。ここでは、旧盆行事としてのお盆とエイサーの関わり、その起源から現代の全島エイサーまつりまでの歴史をたどります。
念仏踊りから始まった祖先供養の舞【お盆との関わり】
エイサーの起源は、約400〜500年前の琉球王国時代に遡ります。浄土宗の僧侶によって伝えられた念仏踊りが、地域に根付き、お盆の最終日に祖先の霊を送り出す儀式として定着しました。
当初は太鼓を使わず、手踊りを中心に各家を回りながら無病息災や家内安全を祈願する形でした。やがて三線や大太鼓が加わり、音楽性と迫力が増し、沖縄各地で独自の型が発展しました。
この伝統は今もなお、2025年の沖縄市や那覇の道ジュネーで見ることができ、地域文化の核として息づいています。
戦後の変化と全島エイサーまつり誕生【沖縄市発祥】
戦後、エイサーは大きな転換期を迎えます。1956年、沖縄市で「全島エイサーコンクール」が始まり、各地域の青年会が技や衣装に工夫を凝らすようになりました。
この大会は後に「全島エイサーまつり」へと発展し、2024年には全国から観光客が訪れる沖縄最大級の祭りとなりました。現在も沖縄市を中心に、那覇や各地でエイサーイベントが開催され、その様子は公式サイトや地域の情報発信を通じて広く知られています。
こうした発展は、単なる余興ではなく、お盆という大切な行事と結びついた伝統芸能が時代に合わせて進化してきた証といえるでしょう。
お盆最終日|ウークイの日の過ごし方と準備【地域別情報】
沖縄のお盆最終日「ウークイ」は、ご先祖様をあの世へお見送りする大切な一日です。旧暦で行われるため、2025年は9月6日(土)にあたります。
沖縄市や那覇など各地域では、この日に向けて重箱料理や御膳を整え、親族が集まって伝統芸能のエイサーや道ジュネーとともに祭りのような雰囲気で過ごします。
地域ごとに食事や儀式の作法に違いがあり、知っておくとより深く文化を味わうことができます。
ウサンミ(重箱料理)と朝昼の御膳【伝統レシピ】
ウークイの夕食に供える豪華な重箱料理「ウサンミ」は、お盆ならではの伝統料理です。
二段一組×二組で四段重箱となる一段目には三枚肉の煮付けや昆布巻き、かまぼこ、魚天ぷらなどがきれいに四角く盛り付けられます。もう一段には紅白餅やよもぎ餅を5個ずつ三列など、奇数個の餅を並べます。地域によっては最後の一段の三段重にして、地域ごとの品を加えることもあります。
朝食や昼食は、ナカビ(中日)と同様にご飯・汁物・酢の物を基本とし、那覇では中身汁や冷やしそうめん、沖縄市ではジューシーを供える家庭も多いです。これらの料理は親族が集まって作ることが多く、伝統を次世代に受け継ぐ貴重な時間にもなっています。
・沖縄の重箱料理「ウサンミ」とは?慶事・弔事・年忌法要の違いと整え方の基本
お見送りの手順とウチカビの作法【那覇・沖縄市の違い】
夜が更けると、いよいよご先祖様を見送るお見送りの儀式が始まります。まず仏壇前でヒラウコー(線香)を手向け、家主が中心となってアルミボウルなどの金属製の火鉢(カニバーキ)でウチカビ(あの世のお金)を燃やします。
那覇では比較的早い時間に行う家庭が増えましたが、沖縄市ではエイサーの道ジュネーを見届けてから深夜に行う場合もあります。燃やし終えた火はお茶や泡盛で消し、供え花や料理の一部をクワズイモの葉で包んで玄関先に運び、「また来てくださいね」と声をかけて家に戻ります。
この一連の流れは、沖縄におけるお盆の締めくくりであり、同時に地域ごとの文化や作法の違いを知る貴重な情報でもあります。
・ウークイのやり方|沖縄の旧盆最終日、ご先祖様を見送る儀式と作法を解説
地域で異なるエイサーの特徴【伝統と創作】
沖縄のお盆最終日に行われるエイサーは、地域によって演舞の型や構成が大きく異なります。沖縄市や那覇をはじめ、各地の青年会や保存会が受け継いできた伝統芸能であり、その違いを知ることは文化理解の大きな手がかりとなります。
近年は全島エイサーまつりなどの大規模イベントで県内外の団体が集まり、それぞれの魅力を披露する機会も増えています。
青年会ごとの型や演舞スタイル【沖縄市・那覇の青年会】
沖縄市や那覇の青年会は、それぞれに独自の型と演舞スタイルを持っています。沖縄市では大太鼓を中心とした力強いリズムとダイナミックな動きが特徴で、全島エイサーまつりでも県内外の観客を魅了します。
一方、那覇の青年会では手踊りやパーランクーを多用し、観光客にも親しみやすい柔らかな印象を与えます。いずれもお盆行事の一部としての意味を持ち、地域の団体が連携しながら伝統を守り続けています。
手踊り・大太鼓・京太郎など役割の違い【伝統芸能の魅力】
エイサーの構成は、演者の役割によって華やかさや迫力が変わります。手踊りは主に女性が担当し、四つ竹や扇子を使ったしなやかな動きで隊列を彩ります。
大太鼓は青年の象徴ともいえる存在で、隊列全体をリードし、迫力ある音で観客を引き込みます。そして京太郎(チョンダラー)は独特の化粧と衣装で場を盛り上げ、演者の士気を高める役割を担います。
これらの役割は単なるパフォーマンスではなく、お盆という行事と深く結びついた伝統芸能の要素であり、県内外からの観光客にも高く評価されています。
沖縄の代表的なエイサーイベント情報【2024・2025】
沖縄のお盆シーズンを盛り上げる要素の一つが、県内各地で開催されるエイサーイベントです。中でも沖縄市や那覇を中心に行われる祭りは、観光客にも人気が高く、地域の青年会や保存会が日頃の練習の成果を披露します。
ここでは2024年から2025年にかけての代表的なイベント情報をご紹介します。
沖縄全島エイサーまつり【沖縄市】
沖縄全島エイサーまつりは、沖縄市で開催される県内最大規模の伝統芸能イベントです。1956年に始まった全島エイサーコンクールを前身とし、今では全国的にも知られる祭りへと発展しました。
●日程…9月12日(金)〜14日(日)の3日間
●場所…コザ運動公園陸上競技場および胡屋十字路周辺
・9月12日(金)…胡屋十字路周辺で「道じゅねー」(18:30〜21:00)
・9月13日(土)…「第47回沖縄市青年まつり」(15:00〜21:00)
・9月14日(日)…フィナーレ(14:30〜21:00)
2024年の祭り同様、県内外から多数の団体が参加予定で、太鼓の響きや手踊りの華やかさが観客を魅了します。お盆の時期に沖縄を訪れる観光客にとって、この祭りは沖縄文化とエイサーの魅力を存分に体感できる絶好の機会です。最新情報は公式サイトや観光情報ページで随時確認できます。
・沖縄全島エイサーまつりオフィシャルサイト
那覇・北谷・読谷など各地のイベント情報(2025年)
沖縄のお盆シーズン前後には、沖縄市以外の地域でも多彩なエイサーイベントが開催されます。ここでは2025年に予定されている代表的な行事を、日程と特徴を交えてご紹介します。
会場は桑江総合運動場。北谷町青年連合会をはじめ、読谷や中城、沖縄市の青年会などが出演し、夕方から夜にかけて迫力ある舞台が繰り広げられます。観光客にも人気が高く、海風と太鼓の響きが楽しめます。
【お問い合わせ】・エイサーフェスティバルIN北谷の公式HP
● 8月10日(日)|名護「第35回 名護市青年エイサー祭り」
21世紀の森公園屋外ステージで開催。名護市内外の青年会や子どもエイサー団体が多数出演し、地域の交流の場となっています。
【お問い合わせ】・第35回名護市青年エイサー祭り~青年の熱き思い 三線と太鼓の音に乗せて~
● 8月17日(日)|糸満「ぜんぶ祭り2025」
糸満漁港北地区で行われる総合イベントの一部として、那覇や糸満、うるま市などの青年会による伝統的な演舞が披露されます。
【お問い合わせ】・糸満「ぜんぶ祭り2025」
● 8月23日(土)・24日(日)|うるま市「てるまのエイサー夏祭り2025」
東海岸BBQ TERUMAで夕方から開催。うるま市や沖縄市の青年会が出演し、地域密着型のアットホームな雰囲気が魅力です。
【詳細はこちらから】・てるまのエイサー夏祭り2025 公式インスタグラム
● 8月31日(日)|読谷「第29回 高志保大通りエイサー天国」
読谷村高志保大通りで17:00よりスタート。地域の通り全体が舞台となり、観客との距離感が近い演舞が楽しめます。
【詳細はこちらから】・読谷村高志保大通りエイサー天国実行委員会
● 9月27日(土)・28日(日)|読谷「第42回 読谷村青年エイサー祭り」
オキハム読谷平和の森球場で開催。読谷村内の青年会が一堂に会し、二日間にわたって熱気あふれる舞台が続きます。
【詳細はこちらから】・読谷村青年団協議会
● 10月4日(土)・5日(日)|うるま市「第20回 うるま市エイサーまつり」
県道75号線沿いを会場に、沿道で多くの観客が見守る中、地元の青年会が華やかな道ジュネーを披露します。
【詳細はこちらから】・うるま市「第20回うるま市エイサーまつり」
● 10月4日(土)・5日(日)|宜野湾市「第29回 宜野湾市青年エイサー祭り」
宜野湾海浜公園多目的広場で開催。海沿いのロケーションと夜空に響く太鼓の音が印象的です。
【詳細はこちらから】・宜野湾市「第29回 宜野湾市青年エイサー祭り」
沖縄では、お盆の時期を中心に県内各地で多彩なエイサーイベントが行われています。沖縄市や那覇、北谷、読谷など、それぞれの地域で守られてきた伝統芸能は、迫力と温かさを兼ね備え、多くの観光客を魅了します。2025年はぜひ、現地でお盆とエイサーの魅力を体感し、地域ごとの個性あふれる舞台を楽しんでみてください。
まとめ|お盆とエイサーで受け継ぐ沖縄の伝統と心
沖縄のお盆は、家族や地域が一体となってご先祖様を迎え、送り出す大切な行事です。その最終日「ウークイ」に披露されるエイサーは、単なる祭りではなく、地域の人々が何世代にもわたって受け継いできた伝統芸能として、深い意味と歴史を持っています。
沖縄市や那覇をはじめ、北谷・読谷など県内各地で行われるエイサーや道ジュネーは、それぞれに個性があり、観る人の心を揺さぶります。2025年の旧盆や全島エイサーまつりをはじめとする多彩なイベントは、観光客にとっても沖縄文化を肌で感じられる貴重な機会です。
今年はぜひ、地域ごとの魅力を感じながら、現地でお盆とエイサーの息づかいを体験してみてください。それはきっと、沖縄の心を未来へとつなぐ、かけがえのない時間になるはずです。
・沖縄のお盆「ウンケー」とは?仏壇飾り・御膳・御願まで初日の流れを解説
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